本を殺した犯人は誰だ?
昨晩から今朝にかけての雨はすごかったです。久しぶりにやばいと感じる雨でした。九州や中国地方では被害が出ていますし、関西も午前中は電車の運転が見合わせになっている路線がいくつもありました。
未明に神戸で洪水警報が出された影響で、小学校はお昼前からの登校になったようです。自宅マンションのすぐ近くにある私立の女子中高は完全に休校でした。まるで梅雨末期のような大雨ですから、この時期にしては珍しいと思います。
ところが所用で私が出かけようとすると、雨はぴたりとやみました。それどころか雲が切れてきて、外出したときにはサングラスを用意すればよかった、と思うほどの日差しでした。さすが晴れ男。この調子なら東京行きも大丈夫でしょう。
今日も午前と午後、過去に書いた小説の再構成をしていました。半年前ほどに一度完成させた作品ですが、ちょっとびっくり。たった半年なのですが、自分の文章の拙さに驚いてしまいました。
その当時は全力を尽くしていたはずです。でも今から見れば技量不足がはなはだしい。いいように言えば進歩しているのでしょうが、同時に『今』の自分に対しても不安を覚えてしまいます。もし半年後に『今』の文章を見たら、がっくりしてしまうのではないかと。
でもそんなことを心配していても仕方ありません。一歩ずつ前に進むしかないですものね。本が売れないと言われる時代ですが、全然売れていないわけではありません。切磋琢磨して読んでもらえる文章を書くしかありません。出版不況なんて、言いわけだと思っています。
と言いつつ、出版界の実態を知っておくことも大切です。そこでこんな本を一昨日に読了しました。
『だれが「本」を殺すのか』佐野眞一 著という本です。
とても衝撃的な本でした。出版社、取次、書店という流れを実感していますが、外から見ているのと内からの声は違います。この本はそれぞれの組織に関わる内からの声が赤裸々にリポートされていますので、とてもよく理解できました。そして同時に重い気持ちになったのも確かです。
書店に並んでいる本は、再販制度と委託販売という制度で流通しています。ところが出版されている本の4割は、版元である出版社に返品されています。書店を守るためのシステムですが、必要な本が読者の手元に届かないという元凶にもなっています。
書店が独自に揃える本を決めたいと思っても、取次から配送される本を店頭に並べるしかありません。だから金太郎飴のように、どこの書店に行っても同じ本が並んでいるということになります。そして希望する本を注文しても、長期間待たされることになる。そうして本離れが進んでいくように思います。本を殺してしまっている犯人は、硬直して機能不全を起こしているこの販売システムのようです。
私が初めて出版した『夢で会える 体外離脱入門』という本は、ジュンク堂さんや、紀伊国屋書店さんで、棚積みで置いてもらえました。それがどれだけ貴重で有難いことことなのか、この本を読んでわかりました。ハート出版さん、取次さん、そして書店さんに対して感謝の気持ちでいっぱいにです。
この写真の本が出版されたのは15年前です。ちょうどAmazonが日本に進出開始したばかりで、本の流通に対する大きな影響が今ほど顕著に出ていない時代ですね。ところが現代で本といえば、Amazonというほどの存在になっています。そして15年前と違って、電子書籍が売上を伸ばしつつあります。この本の著者が、現状の出版界をどのように見ているか聞いてみたくなりました。
この先、本はどうなっていくのか?
正直わかりませんが、とても大きな変化を迎えていくであろう予感がします。版元から直接Amazonで販売する事例も出てきています。逆にAmazonに反旗を翻している版元もあります。版元、取次、書店という流通システムが、もうすでに崩れてきているのでしょう。
本がなくなることはありません。私はそう確信しています。でも現状と違った状況になっていくのは確かです。本を愛する人間のひとりとして、これから先の本の運命を見つめ、ともに歩んでいきたいと思っています。
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