プロであるために必要なもの
来た〜〜! 夏が来たよ〜〜!
今日はマジで夏です。梅雨前線が北上して太平洋高気圧におおわれると言われてもピンときませんが、この暑さを体感すれば夏だとわかります。外出の行き道は下り坂なのに、その段階から汗ばんでいました。
自宅の玄関から見える神戸大学と六甲山の景色も、すっかり夏の様相です。今日はその神戸大学付近でイベントがあったようで、子供を連れた家族づれて賑わっていました。行き道にバス停の前を通ると長蛇の列でした。
買い物を済ませ、両手に荷物を抱えてJR六甲道のバス停までやってくると、お昼過ぎにもかかわらずまだ行列が続いています。とてもじゃないけれど立ったままでバスに乗れる状態の荷物ではなかったので、妻と二人で一つ前のバス停まで歩きました。
するとなんとか座ることはできましたが、六甲道からはその行列の人たちがバスにグイグイと詰め込まれました。途中の阪急六甲駅のバス停にも行列ができていましたが、ほとんど乗れないほどの状態です。夏休みが近いという雰囲気を感じてしまいました。
昨日から7月なので、各地で海開きが行われています。きっと今日あたりは泳ぎに出ている人も多いでしょう。京都でも1ヶ月にわたる祇園祭が始まりました。和歌山では昨日は蝉の初鳴きだったそうで、神戸でも近いうちに大好きな蝉の声が聞けるでしょう。暑いのは辛いですが、やっぱりワクワクします。
さて、昨日のブログに書いていたとおり、読書に追われている私は図書館で本を4冊借りてきました。手元にある本と合わせて、当分は必死になってページを繰らなくてはいけません。昨日もそんな1冊を2時間ほどで読了しました。
『マンガで食えない人の壁 ──プロがプロたる所以編──』 トキワ荘プロジェクト編著 という本です。
実はこれは続編でして、どちらも図書館で予約していたのですが、先に続編が届いてしまいました。でも今の私にとっては、こちらから読んだほうがよかったように思います。
漫画家を目指す人に向けて書かれた本ですが、それを小説に置き換えると私にとっても珠玉の言葉が収められた1冊でした。対談をまとめたものですが、編集者や現役の漫画家たちが本音で語り合っていますので、とても参考になりました。
トキワ荘プロジェクトというのはプロの漫画家になるのを支援している組織で、住宅を借りて漫画家の卵を共同生活させ、実際にデビューさせています。東京、千葉、京都にそうした住宅を用意しているそうです。
この本で心に残った対談の一部を抜粋します。漫画家どうしの対談ですが、プロであるために必要なものが書かれていました。
A:僕って、休むと不安になるんだよね。干されると思って。
B:俺もありますよ。やっぱり、暗黒時代を経験しているから。
A:暗黒時代を経験すると、あれに戻りたくないっていう恐怖があるから、ある意味いいよね。
B:『グランドジャンプ』も、何回かに一回は休載させる方式を取っているじゃないですか。でも、俺は「休むんだったら終わらせてくれ」って言っていますからね。休むと本当に、また干されるんじゃないかって不安になるから。
A:頑張らない人って、そこの恐怖心回路みたいなものが、ちょっと欠けているのかな。
B:ああ、危機感が無いというかね。
A:なんか、努力しない人って、ビビらないよね。僕は自分が努力家とは思っていないけど、ただ、努力しない人と自分がちょっと違うなと思うのは、その部分だよね。僕は、常に何か恐怖を感じているわけよ。干されるかも、もう仕事が無くなるかもって、そういう恐怖心に煽られて、やらずにはいられなくなるんだよね。だから、若い人はもっと怖がったほうがいいよ。
この対談の部分、さらっと書かれていますけれど、プロとしての本質をついているように思います。プロであるために必要なもの。それは干されるかもしれない、仕事がなくなるかもしれない、という恐怖感です。
これは漫画家の人たちだけでなく、小説家でもプロのスポーツ選手でも同じだと思います。自分の現況に対してある種の恐怖感を持たなくなると、努力を怠ります。慢心することになり、さらなる高みを目指そうとしなくなります。この感覚は体感したことがないとわからないかもしれませんね。
まれに天才的は人はいます。努力も必要とせず、恐怖感を抱くこともなく新しい世界を生み出していける人です。でもほどんとの人間は、そうではありません。必死になってプロであり続けようとしています。とても勉強になった本でした。この本の第1作目を読むのが楽しみです。
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