SOLA TODAY Vol.54
過去の国際情勢において、たった一人の指導者の行動によって戦火の火蓋が切られることがありました。もしかすると、それは現代においても同様ではないかと感じます。そんな不安を抱かせる指導者が世界のニュースを賑わせています。
アメリカと軍事同盟を結んでいるフィリピンのドゥテルテ大統領が、先日爆弾発言をしました。オバマ大統領に対して「地獄に落ちろ」と罵倒しました。そしてその発言が本気であることを証明するかのように、領海問題でもめている中国に接近しています。今月の18日から21日にかけて中国を公式訪問して、習近平国家主席との首脳会談が予定されています。
そもそもなぜ同盟国の元首であるオバマ大統領に対して「地獄に落ちろ」と言ったのか。ドゥテルテ大統領がまともな裁判も経ずに、麻薬中毒者あるいは販売者を逮捕して射殺してしまったことを、オバマ大統領が人権問題だとして非難したことが理由です。
麻薬はどの国にとっても頭の痛い問題です。国民の健康や安全に対して脅威であるだけでなく、犯罪組織の資金源となっています。麻薬に対して厳格な態度を示すことは大切ですが、でも強権発動をするのはやり過ぎです。裁判もしないで射殺したことに対して、オバマ大統領が非難するのは当然です。
でもこれだけが原因ではないようです。「来年のアメリカとの合同演習を中止する」と発言したドゥテルテ大統領の真意は、「アメリカは共同軍事演習をしたあとに、毎回、軍事演習に使った武器装備を全てアメリカに持ち帰ってしまう。あの軍事演習は、アメリカに利益をもたらすだけで、フィリピン軍にはいかなる利益も残してない」と発言していると、この記事に書かれています。
アジア諸国と領土問題でトラブルを起こしている中国にすれば、こんなチャンスはありません。ラオスは完全に中国側ですし、カンボジアとは緊密な関係を築こうとしています。そこにフィリピンが加われば、一気に東アジアのアドバンテージを中国が握ることになります。それは尖閣諸島問題を抱える日本にとって、決して無視できることではありません。
中国が巧妙なのは、フィリピンに「大型麻薬中毒者治療センター」設立を支援したことです。つまりオバマ大統領の人権問題に対する非難を、逆手に取った戦略です。中国経済はいまだパワーを持っていますから、潤沢なチャイナマネーをフィリピンにちらつかせたのでしょう。ドゥテルテ大統領が、いそいそと訪中するのがわかります。
この記事からはわかりませんが、一般民衆はどのように思っているのかな? そう簡単にアメリカとの軍事同盟が破棄されることはないと思います。でも国民の総意として反米に傾いているのなら、ちょっと嫌な雰囲気を感じます。きな臭い印象がぬぐえません。
現代の国際情勢における見かけ上の平和は、微妙なバランスのうえに成り立っています。ドゥテルテ大統領の行動次第では、そんなパランスが一気に崩れてしまう可能性があります。もし次の世界大戦が起きるとしたら東アジアが火薬庫になるのでは、とわたしは常々感じています。北朝鮮というやっかいな国家もありますからね。
相変わらず日本のニュースはどうでもいいような内容に時間が割かれていますが、こうした国家間の動きに対してもっと敏感な報道をしてくれたらなぁと思っています。
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