SOLA TODAY VOL.57
今年は年始から『週刊文春』が話題になっています。多くの芸能人の方が「文春砲」に撃墜されていますね。聞くところによると文春の記者の方の取材力は、他社に比べて群を抜いて高いそうです。ですから対抗するためには、負けずに記事を書くしかありません。でもその意気込みが度を超えると、倫理的な問題が発生します。今年の8月なので少し古いのですが、週刊誌記者の実情がわかる記事を見つけました。
ある耳鼻科の医師が書いたブログです。はっきりと週刊誌の名前が出ています。取材を依頼してきたのは講談社で発刊している『週刊現代』の記者です。詳しくはリンクした記事を読んでみてください。これが事実だとしたら、とんでもないことです。
その当時、『週刊現代』では医療批判記事を連載していたそうです。ところが連絡をしてきた記者はその意図を隠したまま、耳鼻科に関する病気の実例を質問しています。質問を受けていた医師は、途中から違和感を覚えています。
これで本当に医療関係の記事が書けるのか、と疑問に思うほど医療知識がなく、当たり前の用語さえまともに読めないような記者です。ところがほとんど発症例のないような病気についてしつこく訊いてきます。それでもその医師は実情に応じて丁寧に対応されていました。
ところが掲載前の記事のコピーを送ってもらってびっくり! まったく話していない内容が加筆されています。さも自分が医療の危機を世間に訴えているような内容になっています。実名も出ていますからリアリティは高い。
実際にこのコピーを読むと、インタビュー時の内容と書かれた記事のギャップに驚きます。あぁ、週刊誌というのはこうして記事が作られていくのだなぁ、と実感させられました。同時に言い知れない怖さを覚えました。もし自分がインタビューをされる立場なら、パニックになりそうな捏造記事です。
この医師はすぐに抗議して、記事を取り下げるように依頼しています。そして同じような事例に巻き込まれないように、他の医師にブログを通じて警告を発しておられます。
最近は芸能人の方もブログやツイッターを通じて、自分の本当の意思を発信することが可能になりました。ですから週刊誌等で何か記事が出ても、それに反論することができます。ただ問題は、世間がどう見るかですね。
例えば捏造された記事だとしても、真実だと判断する人が多数であれば、それが事実となって拡散していきます。どれだけ本人が否定しようと、単なる言い訳だとして無視されます。そして困ったことに、紙の週刊誌を愛読しているような人に限って、ネットの情報にうとかったりします。そうすると週刊誌の情報が全てになってしまうでしょう。
つまり何が事実かなんて、判断できなくなってきます。もし疑うとしたら、このブログを書いた医師が週刊誌を攻撃するために嘘を書いた、と判断することも可能です。もしかしたら週刊誌の記事のほうが正しいのかもしれない、という可能性も否定できなくなってしまいます。
だからこそ怖い。わたしは今のところ週刊誌に取材されるような立場ではありませんが、どこでどうつながっていくかわかりません。書き手としては出版社との良好な関係を築いていきたいと願いますが、出版社という営利企業にとってはこうした側面も存在するということです。売れる記事を書かなければならないという、ある意味脅迫的な事実から逃げることができないのでしょう。
事実と捏造の違いを見分けるのは、わたしたち読者にとって難しいかもしれません。でも少なくとも、発表された記事を鵜呑みにすることを避けることはできます。もしかしたら事実ではないかもしれない。そう意識しながら情報に接する必要性を、強く感じさせてもらえた記事でした。
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