ハワイ日系人の苦悩
めちゃ揺れました。神戸では久しぶりの地震です。午後のコーヒーを飲もうとセットした直後、わたしと妻のスマホから警報が鳴りました。そしてその直後に大きな揺れが……。一度収まりかけてから強さを増すように揺れたので、かなり長い時間でした。
震源地は鳥取で、震度6弱でした。建物等の被害が出ているとの速報も入っているので、とても心配です。そのあと神戸でさえ身体に感じる余震が続いていましたから、山陰地方はかなり揺れているでしょう。大きな被害が出ないことを願っています。
今日の21日はちょっと楽しみにしていたことがあります。3年ぶりにレディー・ガガがニューアルバムをリリースしました。
『Joanne』というタイトルのアルバムです。Apple Musicでも定額聴き放題で配信されていますので、今日の午後からさっそく聴いてみました。まだ1度だけなので詳しい感想は書けませんが、かなりいい雰囲気です。当分はわたしのヘビーローテションにして、じっくり聴き込んでいきたいと思っています。
さて、昨晩に読了した本です。
『日付変更線 上巻』辻仁成 著という本です。
昨年の夏に出版された小説です。久しぶりに辻さんの小説を読みましたが、これはかなり面白い。けれども面白いという言葉は適切ではないかもしれません。なぜなら現代の物語なのですが、根底にあるのは太平洋戦争だからです。
物語の冒頭はマナという20代の日本人女性がハワイにやってきて、祖父の遺言により散骨するところから始まります。マナは1年前に恋人がハワイで失踪しています。そんなマナは、散骨を依頼した自然葬を行なっている会社でケインという日系の青年と出会います。
祖父の遺言は散骨だけではなく、ヘンリーというハワイの上院議員に会って、自分が生きていたことを伝えて欲しいというものがありました。マナの祖父はハワイ出身の日系2世ですが、第二次世界大戦中のフランスで戦死したことになっています。ところがフランス人の有名な画家として生きていたのです。祖父はフランス人女性と結婚してマナの母親をもうけ、マナの母親は日本人と結婚しています。ですからマナには日本人とフランス人の血が含まれています。
そして驚いたことに、ハワイで出会ったケインの祖父はマナの父と友人でした。マナの祖父、ケインの祖父、そして上院議員のヘンリーは日系2世の親友だったのです。3人が同じ高校を出て大学に進む年に、真珠湾攻撃が始まります。
日米開戦と同時に、米国本土にいる日系人は財産を没収されて収容所に集められています。ところが当時のハワイの人口の4割は日系人だったので、まだ準州だったハワイでは、そうした措置は取られていません。ある程度は普通に暮らすことができました。
ところが日本人にしか見えない日系人は、肩身の狭い思いで暮らしています。特に日系2世たちはハワイで生まれ育っているわけですから、見た目は日本人だとしても、国籍も心も完璧にアメリカ人です。だからアメリカ人としての忠誠心を見せるため、そして自分たちの家族が迫害されないために、1万人近い2世たちが志願して戦争に参加しています。
けれども悲しいことに、日本人の顔をした一団はヨーロッパの最前線に送られました。もちろん意図的です。白人たちの盾となることで、自分たちがアメリカ人であることを証明しろ、と言われているのと同じでした。そして大勢の日系人が最前線で命を落としています。
マナとケインの祖父たちも、そんな志願兵でした。この小説を読んで本当に驚きました。おおよそのことは知っていましたが、これほど悲惨な状況だとは思いもしませんでした。読み進んでいくうちに、ページをめくる手が止まらなくなる小説です。
これは上巻ですので、物語の核心は下巻に書かれているはずです。なぜマナの祖父は戦死したことにしてフランス人となったのか? ヨーロッパの最前線で3人の親友たちに何があったのか? 消息が知れないマナの恋人の行方は? そしてマナとケインの恋はどうなるのか?
これらの疑問が下巻で明らかになってくるはずです。今日からさっそく下巻を読み始めます。辻さんの文章はリズム感が良くて、言葉の美しさに魅了されます。そして気がついたら、登場人物たちと心を通わせています。下巻を読み終えたら、最終的な感想を紹介したいと思います。
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