SOLA YODAY Vol.103
部数が減ったとはいえ、新聞の記事が及ぼす影響は軽視できません。楽しいことや素晴らしい記事で影響を与えるのなら好ましいことですが、メディアはネガティブなことをより強調しようとします。そのほうが読者の反応を刺激するからでしょう。そんな新聞の悪影響をモロに感じさせる記事を読みました。
「救えるはずの患者を救えない」 子宮頸がんワクチン副作用「問題」はなぜ起きた?
30代の女性の発症のピークとなっている子宮頸がんは、ウイルスの感染が原因であることは明確になっています。それを防ぐためにワクチン接種が2013年からスタートしましたが、現在は頓挫した状態になっています。毎年1万人が発症して、約3000人が亡くなっているというのに……。
その理由がワクチンの副作用です。ワクチン接種というものは必ずと言っていいほど副作用を伴うもので、このワクチンに関しても例外ではありません。ところが他のワクチン接種に比べて、子宮頸がんワクチンに関しては過剰な反応が起きています。その異常な現象について調査した記事です。
その理由がマスコミ、特に新聞です。
過去の記事をコンピュータを使って調査すると、2013年3月を境にネガティブな記事が急増しています。そのきっかけとなったのは朝日新聞の記事で、ある少女の副作用の内容が記載されていました。症状としては予想されたものですが、問題なのが副作用の影響で算数の割り算ができなくなったということまで書かれています。
医師からみれば、割り算ができなくなるという副作用は、ワクチン接種では考えられないことだそうです。素人が考えてもそう思います。身体の症状と割り算ができるできないは、明確な相関関係があるとは思えません。
しかしなぜこうした副作用の報告が続いたのか? 本当に副作用なのか?
WHOはワクチンの接種を勧めていますし、通常の副作用はあるとしても、ワクチン接種を止めるほどのものではないという医師の見解や、研究成果がいくつも発表されています。ところがそのあたりは報道されていません。
しかしある日本の研究者がマウスを使って発表した副作用を証明する記事は、まるで鬼の首を取ったかのように報道されました。でもその研究はとてもお粗末な状態で実施されたもので、その後に研究した人物は謝罪しています。ワクチンの副作用の因果関係を示す内容ではなかったのです。
ところが一度流れた報道は止められません。そのことによって「ノセボ効果」が起きたのではないか、と見られています。プラセボ効果というのは聞かれたことがありますね。ただの小麦粉を頭痛に効くと言われて医師に処方されると、本当に頭痛が治ってしまうという効果です。
ノセボ効果はその反対です。根拠のない悪評に洗脳されることで、本当にその症状を引き起こしてしまうものです。硫酸だと言って水をかけられると、本当に手が火傷になることもあります。新聞による過剰なネガティブキャンペーンによって、深刻な副作用を経験する女性が増えたのではないかと予測されています。
先ほども書きましたが、ワクチンというものは副作用があるものです。もし接種するのならば、そのことを自己責任で了解した上で接種するべきですし、未成年の女性に接種する場合も両親の理解が求められます。
ところが悪評が当たり前になってしまった現状では、本当に必要とする人にワクチンを接種する機会を逸しています。本来なら助かった人が、命を落としている可能性もあるのです。でも報道はそんなことの責任を意識することはないでしょうし、一般大衆が喜ぶネガティブな報道をこれからも繰り返していくと思います。
この記事のインタビューに答えた医師が言っています。
「このままでは、子宮頸がん患者も、予防接種を控えた人も、副作用を訴える人たちも、だれも救われません」
ワクチン接種の副作用が過剰に報道されることで、実際に副作用を経験している人の症状緩和も阻害されています。他の要因が絡んでいるかもしれないのに、全てワクチンのせいにされてしまっているからです。
今さら難しいのでしょうが、誰もが一度は余計な概念を手放す必要があるかもしれません。メディアによって毒された強烈な印象を、一度取り去ることが必要ですね。そのうえでワクチンを接種するか否かを、冷静に判断するべきでしょう。もしそれで助かる命があるのなら、なおさらそうするべきだと思います。
とにかくニュースに接するわたしたちも、常に冷静で客観的な視点を持つことが必要ですね。この記事を読んでそう感じました。
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