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高羽そらさんインタビュー

世界から猫が消えたなら

ちょっと冬から秋に後戻りした感じで、今日はかなり暖かい日になりました。歩いていると、帰り道の上り坂で久しぶりに汗ばんだくらいです。今週はクリスマスウイークですが、暖かくなるのでホワイトクリスマスは無理そうですね。でも寒いよりいいかも。

 

明後日は冬至ということで、すでにスーパーには柚子とカボチャが並んでいました。日本人というのは季節のイベントが好きな人が多いですよね。四季の変化が豊かな国ですから、それぞれの季節を楽しもうという気持ちが強いのでしょう。

 

そして異文化についても寛容なところがあるので、クリスマスやハロウインという外国のイベントもすぐに乗っかります。節操がないと批判する人もあるでしょうが、楽しいことだからいいじゃないですか。わたしは日本人のそういう部分が大好きです。

 

その反面として、大事が起きたと時に自粛するという民族性もあります。そこはちょっと違和感があります。悲惨な出来事があったからといって、今年のクリスマスは自粛しましょうなんてつまらないですからね。毎年あることが当然となっているものが自粛されると、その寂しさは倍増では済まないように思います。

 

あって当然のものがなくなってしまう。そんなことをテーマにした小説を読みました。

 

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『世界から猫が消えたなら』川村元気 著という本です。

 

川村さんは映画プロデューサーとして名前を知っていました。『電車男』でブレイクされた方ですし、数々の有名な作品をプロデュースされています。最近では新海誠監督の『君の名は。』が大ヒットしています。

 

この小説はその川村さんの小説デビュー作です。作品名はもちろん、今年に映画化されたのも知っています。気になっていたのですが、ようやく手にすることができました。そしてとんでもない素敵な出会いをしてしまったように感じています。

 

泣きました。号泣しましたよ。今思い出しても、涙が出てきます。短い文章で綴られた小説ですが、言葉のひとつひとつが心に刺さります。この物語が持っている世界観が、完全にわたしの琴線に触れてしまいました。とてもシンプルな作品なのですが、今年読んだ小説でもっとも感動した作品です。

 

主人公は『僕』です。名前はありません。突然、末期ガンで明日にも死ぬかもしれないと宣告されます。自宅に戻ると悪魔が待っていました。とてもコミカルな存在で、かなり笑います。伊坂幸太郎さんの小説を彷彿とさせるキャラです。

 

その悪魔が「この世の何かを一つ消せば、お前の命を1日伸ばせる」と持ちかけます。ですから365個の何かを消せば、1年は生き延びられます。その10倍なら10年です。ただし悪魔が指定したものしか消せません。さらに消す前に、一度だけそれを使えるという特典があります。

 

悪魔が最初に持ちかけたのが「電話」でした。翌日には世界から「電話」が消えます。消えたことを知っているのは『僕』だけで、他の人はその存在さえも忘れています。

 

次に消されたのが「映画」でした。わたしならこの時点で耐えられませんね(笑) 映画のない世界なんて信じられません。次に消されたのが「時計」です。これで3日は生き延びたわけです。

 

この小説で語られているのは、シンプルなようでとても深いものです。人間は何かを失ってから、初めてその大切さに気づきます。指の先を少し怪我しただけで、それがどれほど不自由かを認識するようなものです。

 

あって当然だと思っていたものが消える世界を、『僕』は真摯に見つめていきます。彼は亡くなった母への強い愛を抱えつつ、父との確執に悩んでいます。そんな愛する母の忘れ形見が、猫のキャベツです。

 

悪魔の魔法で言葉が話せるようになったキャベツとの交流を通じて、『僕』は自分の人生を振り返ります。母が亡くなる直前に行った温泉旅行は、キャベツを連れた最後の家族の旅行でした。キャベツと二人でアルバムを見ながら当時を振り返る場面で、マジで号泣しちゃいました。

 

そして次に悪魔が持ちかけたのは、世界から猫を消すことです。キャベツは「『僕』の命が永らえるのなら、猫を消してしまっていいよ」と言います。でも『僕』は悪魔の申し入れを断ります。自分が生きるために世界から猫を消すなんてできない、キャベツを失ってまで生きていたいとは思いませんでした。

 

もうこのあたりで涙腺はボロボロです(笑)

 

最終的に自分の死を受け入れることにした『僕』は、最後に父と和解しようとします。その橋渡しになるのが、消されることのなかった猫のキャベツでした。キャベツとの二人暮らしでしたから、『僕』が死ねばキャベツは生きていけません。そう思って父を訪ねるところで物語は終わります。

 

この作品は読む人によって感じるところが違うかもしれません。でもきっと大勢の人の共感を得ることができる作品だと思います。今年最後に、とても素敵な作品に出会うことができました。川村さんの他の小説も読んでみようと思います。

 

こうなると映画が気になりますね。『僕』の役は佐藤健さんとのことで、わたしのイメージにピッタリです。『僕』が電話を消すことに同意するとき、最後に電話をかけた『彼女』を宮崎あおいさんが演じています。これまたドンピシャだと思います。

 

お母さん役の原田美枝子さんもいいなぁ。気になるので、レンタル可能になったら是非観ようと思います。川村さんのファンになってしまいました!

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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