こんな男子中学生おらんやろ!
小中学生のころ、ボクがかなり夢中になっていたものがある。それは少女漫画。
妹の雑誌を横取りして読んでいるうちに、ついついハマってしまった。『なかよし』で連載されていた、いがらしゆみこさんの『キャンディ・キャンディ』なんて、リアルタイムで読んでいる。
現実世界ではありえないような設定でも、漫画だったら違和感を抱くことなくリアルに体験することができる。そこがいいところだよね。
先日久しぶりにアニメの映画を観た。もう数え切れないほど観ているけれど、放送しているとつい観たくなってしまう作品。
『耳をすませば』という1995年に公開されたアニメ映画。
ジブリ作品に順位をつけるのは難しい。どれも大好きだから。それでも確実にボクにとってベスト3に入るのがこの作品。
とにかくやる気と元気が出るアニメ。中学生カップルを見ながら、よしボクも負けないぞ、と思ってしまうw
月島雫という主人公の心意気に、いつ見ても触発されてしまう。それは物語を書いているという理由だけじゃない。
天沢聖司という恋する相手の生き方を見て、ただ単に頑張れって応援しないのがいい。「頑張っているやつに頑張れなんて言えない」と思った彼女は、自分も相手に釣り合う人間になろうと必死でもがく。
そのもがいている姿に共感してしまう。人間と人間の関係って、こうあるべきだと思う。互いを高めあって向上させていけるというのは、本当に理想的な関係だろう。別に結果としてうまくいかなくてもいい。そう思いあえることが大切なのだと思う。
ラスト近くのシーンで、自転車の二人に乗りで坂道にさしかかったとき、必死でペダルを踏む聖司に対して雫は言う。「お荷物なんてやだ」と。その言葉に、彼女の気持ちがすべて現れている。
男性から見れば雫という女性は好感が持てるし、女性から見れば聖司という男性はかなり素敵だろう。
ただね、やはりこれは少女漫画。こんなカッコイイ男子中学生はおらんやろ! マジでカッコ良すぎるわぁwww
15歳の男子といえば、頭のなかは超複雑にできている。この聖司のような気持ちになることもあるだろう。でもそんなピュアなものばかりじゃない。思春期特有のイライラや、受験に対するプレッシャーや、セックスに対する異常な興味で頭がいっぱいになっている。
そんなかなりややこしい生き物が、15歳の男子中学生というものの実態。とても天沢聖司のようにはなれなかった。少なくともボクはね。
このアニメの時代設定は、1994年になっている。だから現在は38歳のアラフォー世代だよね。この世代の人たちにとっては、懐かしい時代背景なのだろうなぁ。ボクの場合なら、ジブリ作品としては『思い出ぽろぽろ』のほうが時代背景としては近い。
朝日を見ながら結婚を約束した聖司と雫。さて二人の未来はどうなっているのか?
この質問をアラフォー世代以上の人に尋ねたら、ほとんどの人は、こう答えると思う。
「別々の人生を歩んでいるよ」と。
まぁ、それが現実的な答えかもしれない。残念だけれどね。
だけどアニメの世界というのは、心のなかでは別腹で存在している。だから2人が同じ人生を歩んでいる世界が、この作品のファンの人の心には生き生きとして描かれていると思う。それこそが物語の持つマジックだよね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。