SOLA TODAY Vol.180
人間の固定観念って、意外にしぶとい。
道具というものは、特定の作業を意図して作られたものであることはまちがいない。その用途で使うことは当然だけれど、あまりに固定観念が強すぎると、その作業以外に使うことを考えもしない。
ボク自身も頭を柔らかくしておきたいと常に思っているが、まだまだ強い固定観念を持っているのに気づかされた記事を読んだ。
カーシェアの意外な使い道が明らかに、カフェから子守り、カラオケまで
カーシェアというものが、かなり一般化してきた。よく目につくのがパーク24というコインパーキングを運営しているタイムズのカーシェア。国内市場の7割を占めているらしい。
ボクも買い物で外出するときによく見るけれど、いつもカーシェア用の自動車が停められている。スマホで会員登録をすると、15分206円から利用できる。ボクのように自動車を手放した人間にすれば、ちょっとしたことに便利に使えると思ってはいた。
でもボクが使い方として思いつくのは、重い商品を買い物をしたときに利用することくらい。つまり『車』としての機能しか頭にない。固定観念に縛られている証拠だと思う。
ところが実際にこのサービスを利用している人は、自動車という概念にとらわれていないらしい。『自動車=移動する手段』ということに固定されず、占有できる『空間』としてとらえている。
具体的には、カフェの代わりに利用する人がいる。外回りの営業マンが、一人だけの空間でゆっくりとコーヒーを飲み、ちょっと昼寝をすることだってできる。まだ車に慣れない免許取り立ての人や、購入したい車種の試乗を兼ねた人が、カーシェアを利用する場合もある。
あるいは小さな赤ちゃんが深夜に泣き叫んだりした場合、他人に迷惑をかけずにあやす空間として利用する人もいるらしい。思い切り歌いたいときに、カラオケボックス代わりに利用する人もある。夫婦喧嘩をしたときに、一時的に逃げ込む場所として利用する人もあった。
タイムズは利用者にアンケートをとって、カーシェアの利用方法を集計している。そしてそのユニークな利用方法を公開することで、新たな利用者の増加を狙っているのだと思う。
スマホでポチッと予約するだけで、街のどこでも気軽に借りることのできるカーシェアの車を、他人と隔絶された『貸切空間』として利用する人が多いとのこと。もしタイムズという会社がここまで見込んでいたとしたら、マジですごい会社だわ。
よくカフェで仕事の打ち合わせをしたり、アルバイトの面接のようなことをしている人たちがいる。でもすぐ横でコーヒーを飲んでいると、その会話内容がいやでも聞こえてくる。ボク個人としては小説のネタになりそうで面白いけれど、話をしている当事者としては愉快ではないだろう。
でもこのカーシェアをそうした会議の空間としても利用できると思う。ただ単なるレンタカー的な要素だけでなく、空間を提供するサービスとして見直すべきかもしれないね。そうすると15分単位で使えることにメリットが生じる。通常のレンタカーは、借りるまでが大げさで面倒だから。
この記事を読んで、ボクもタイムズに登録しておこうかな、と思ってしまった。短時間で車を使いたいときに便利だと感じたし、車としての利用法だけでなく、空間の私有という使い方についても価値を感じるから。固定観念がぶっ飛んだ記事だった。
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