空気を読んではいけない
去年に夏風邪をひいたけれど、その後の秋から今年の冬にかけては大丈夫だったね、と妻と言い合っていたばかり。
ところがその直後に風邪をひいた。昨日から喉と鼻の粘膜が異常を訴えていた。やばいなぁと思っていたら、深夜から明け方にかけてすっかり風邪になってしまった。いらんことを言うから、風邪を呼び込んでしまったのかもね。
もうマジで不快。午前中にブログを書いて、その後に税金の申告書を作った。午前中はそれで限界。
午後からは仕事をしたけれど、集中できるのは1時間がいっぱいいっぱい。追い込まなくてはいけない時期なのに、小説の執筆が進まない。明日はさらにひどくなりそうな予感がしているから、本当はもっと今日中に仕事をしたかったんだけれどなぁ。
まぁ、こんな時は諦めるしかない。とりあえずこのブログを書いて、夜はできる限り読書をしよう。
風邪をひいている時って読書もままならないけれど、そんなときでもぐんぐん読めて、さらに元気が出る本を読んだ。
『空気を読んではいけない』青木真也 著という本。
青木さんは総合格闘家で、『PRIDE』や『ONE FC』という2団体で、世界ライト級の王者となっている。そこへ至るまでに、どのような過程を歩んできて、さらにこれからどこへ行こうとしているのか。そんな青木さんの生き様が書かれた本。
日本人というのは、空気を読むことにかけては世界一と言っていい民族かもしれない。『根回し』というのは日本人の文化であり、『和を以て貴しとなす』という聖徳太子の言葉も有名。
学校ではどれだけ勉強ができても飛び級はできないし、皆と同じであることが素晴らしいことだと思い込まされて成長する。いわゆる『同調圧力』が強いという国民性を持っている。
ところが青木さんは、子供時代からまったく正反対の生き方をしてきた。友達はいないし、『群れる』ことをあえて避ける生き方を選択している。それは自分に才能がないことを自覚していたから、と彼は著書で述べている。
格闘家として身体に恵まれているわけでもなく、柔道を始めた中学生のころも最初は補欠だった。だったら人と同じことをしていたら、自分が前に出ることはできない。その思いから、徹底的に『空気を読まない』ことを意識する生き方を突き進んでいる。
この本を読み始めて、ボクはかなり笑ってしまった。それは変な意味で笑ったのではなく、ボクとよく似ているから。同じようなことを考えて生きてきた人がいることに、どこか嬉しくなって笑ってしまった。
友達が極端に少ないのも同じ。青木さんのように「幸せに生きるために友達はいらない」とまでは言わないけれど、実態はそれに近い生き方をしてきた。人と群れることはボクも嫌いで、孤独こそが自分の価値を作ると思っている。
感覚のちがう人とはさっさと「縁切り」するという青木さんの人生哲学を、実はボクも持ち合わせている。
ストイックに欲望を整理するところも、よく似ている。所有物を少なくする生活を心がけておられるようで、いわゆるミニマリスト的な感覚を持った格闘家でもある。
何かをひとつ買えばひとつ捨てる、というやり方はボクとまったく同じで、やはり笑ってしまった〜w
それほど根本的な発想は似ているのに、青木さんとボクが決定的にちがうことがある。
それはボクが、『空気を読んで』生きてきたということ。
他人とちがう人間であることを知られてはいけない。幼い子供のころから必死でそう意識して生きてきた。どこか遠い星から来た宇宙人であることを、隠しているようなものだよね。自分の正体を決して見せないよう、いつも最新の注意を払っていた。だから疲れる。
もし青木さんのように子供のころからそんな自分を出していたら、ちがった人生になっていたかもしれない。それは今と比べて、いいとか悪いとかじゃない。
どのような生き方をしても、人生はそれなりにしんどいもの。だけど空気を読まない生き方をしてきたら、今の自分と確実にちがう人生であることだけはよくわかる。
ボクが会社勤めを続けられないのは、そうした部分があるからだと思っている。だから今は、できる限りありのままの自分で生きようとしている。子供のころから身についてしまった『空気を読む』習慣はなかなか抜けないけれど、少しずつ自分をその状態に慣らしている。
本来の自分のような生き方でもいいんだ、とこの本を読んで勇気をもらえた。格闘技が苦手なので青木さんのことは知らなかったけれど、強い親近感を抱いたのは確か。これからの彼の生き方に注目していきたいと思っている。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。