SOLA TODAY Vol.213
アメリカのトランプ大統領が就任して2ヶ月になる。国を二分した反トランプ運動も少しは下火になったようで、これからは大統領の手腕が真剣に問われる時期になってきたと思う。
ここで実績を残していけばうまく軌道に乗るだろうが、どうもそうは行かない状況になってきた。テロ対策として実行した入国拒否の大統領令は、複数の州で憲法違反だという判断を下されている。
そしてトランプ大統領の公約として最も強く推し進めていたオバマケアの代替案が、与党の共和党によって撤回されることになった。
米トランプ政権の政策実行能力に疑問符-オバマケア代替案撤回で
上院下院ともに与党の共和党が多数を占めているのに、共和党の大統領が公約を実行できない。それは彼の政策実行能力に対して身内から疑問符が出されたのと同じことになる。
国民皆保険を目指したオバマケアは、たしかに多くの矛盾を生み出してきた。それでもとりあえずは健康保険によって医療を受けられる人が増えて、病院関係機関も医療費によって潤っている。
その代替案をトランプ大統領は提出した。ところがその法案が成立した場合、穏健派の共和党議員の試算によると2026年には無保険者が2400万人も増えるという結果が出た。
それなのにトランプ大統領は、オバマケアをやめて代替案を通過させれば、国民皆保険が実現すると豪語している。さすがにまずいと共和党議員も考えたのだろう。
トランプ大統領が最も重視していた法案提出が共和党によって撤回されたことで、大統領の指導力が問われている。
当然ながら野党である民主党は黙っていない。現在のトランプ政権下で、こんなことが起きているらしい。
大統領が交代したのに、各省庁の政治任用高官ポストが埋まっていない。要するにオバマ政権時代に任命された幹部職員が残っている。普通はさっさと入れ替えするのだろうけれど、トランプ陣営はそこまで気が回らないのだろうか?
そんな状況だから、政権内の情報を民主党は詳細に把握できる。わざわざスパイを置く必要なく堂々と情報収集できるので、目に見えない妨害工作が可能になってしまう。この状況が「静かなクーデター」と呼ばれている。
最近になってトランプ大統領が、選挙中にオバマ政権がトランプタワーを盗聴していたと非難している。FBIはその証拠がないと言明しているが、トランプ大統領はツイッターでそのことを繰り返しているらしい。
その理由としてあげられているのが、ライバルのクリントン氏を落選させるために、ロシアと協力したという疑惑をごまかすためだと言われている。そしておそらく、この「静かなクーデター」に対するいらだちも影響しているとの記事だった。
トランプ大統領としては、とにかくお膝元の共和党をひとつに結束させないと、四面楚歌になってしまう。大変だよねぇ。
アメリカの政局は日本に大きな影響を及ぼす。だからこそ注目していくべきだと思う。今のままでは国民の失望が増えるばかりの状況なので、トランプ大統領としては思い切った舵取りを決断することになるかもしれない。
それが勢いあまって、変な方向に行かなかればいいなぁと願わざるを得ない。
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