やっぱり自由意志は無いんだ
昨日の台風のような風で、満開だった桜は散ってしまっただろう。
そう思って外出すると、桜のポテンシャルの高さに驚かされた。満開してからしばらくは散らない、ということは聞いたことがある。だけど昨日のような風なら、さすがに無理だろうと思っていた。ところがしっかり満開をキープしていた。
JR六甲道駅近くにある広場の桜。朝のうちは少し雨が残っていたので人はいないけれど、桜は見事だった。午後からは晴れてきたので、きっと大勢の人がお花見をしていると思う。
そして自宅近くの桜も、「まだまだ散らないわよ」(なぜだかオネエ言葉www)と言っているような気がした。たいしたもんだ。
桜たちはそれぞれの木の意思によって、「今年はこれくらいで散るか」とか、「もっと粘るで〜!」と決めているわけじゃないと思う。その年の気候にしたがって、自然に反応した結果だと思う。
それは考えようによっては、人間のような自由意志を持っていないと言える。その年の気候のまま、生物的な反応をしているだけだと思える。
ところが人間だって同じかもしれない。自由意志を持っているように見えるけれど、実はそんなもの存在しないかもしれない。
ボクは人間の自由意志はないと思っている。ただ単にそう見えるだけだと。だから起きることは起きるし、物事はなるようにしかならない。
だからといって投げやりに生きようなんて、これっぽっちも思っていない。むしろ自由意志がないことを、楽しもうと思っている。精一杯生きて、成功や失敗を経験するほうが、絶対に楽しいと思う。
面白いことに、人間に自由意志がないということを、科学的に研究している人たちがいる。そしてほぼまちがいない、とまで断定されている。
決して怪しげなスピリチュアル系の人たちではない。家電メーカーとして有名な日立の中央研究所のチームの人たちだ。
『データの見えざる手 ウエラブルセンサが明かす、人間・組織・社会の法則』矢野和男 著という本。
ビックデータという言葉を耳にすることがあると思う。ウィキペディアによると、こう説明されている。
『市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物を表す用語である』
このビックデータは、今やあらゆる方法で収集されている。それを研究することで、これまで知りえなかった自然法則や、人間の本質が明かにされつつある。この本はそのビックデータを研究している著者が、人間の自由意志についてまとめたもの。
興味のある方は、是非とも読んでほしい。めちゃめちゃ面白い。人間という生き物が、桜と同じように「見えざる手」によって動かされていることが科学的に理解できる。悟りを開いたという賢人と、基本的に同じことを言っている。
さらに人間の行動パターンについても、かなり面白い事実が書かれている。理屈で考えるのではなく、純粋にデータを分析することで出てくる答えなので、とても説得力がある。
たとえば文章を執筆をする時間は、1日使用可能な時間のうち約28%しか使えないという結果が出ている。つまり自分の自由意志で、今日は丸1日を執筆にあてると決めても、絶対にできないということ。
集中できなくなったり、動きたくなったり、執筆以外のことをしたくてたまらなくなるらしい。実感としてよくわかるwww
面白い実験もあった。ある店舗で売り上げを伸ばすのに、専門のコンサルタントを使った場合と、ビックデータを分析した場合を比較した。するとコンサルタントでは結果が出なかったのに、ビックデータでは15%も売上を伸ばしている。
その売上増加の方法に笑ってしまった。
従業員と顧客にセンサーをつけて、大量のデータをとる。いつ誰がどこにいて、誰と接触しているかを調べる。ウエラブルセンサなので、会話の内容まではわからない。
そのデータから分析すると、従業員がある場所にいると売上が伸びるという不思議なデータが出た。その場所はその店舗にとって、特に重要なものが置いてある場所じゃない。逆にまったく商品の売上に意味があるとは思えない場所だった。
ビックデータが出した答えどおり、その場所にできる限り従業員をいさせるようにした。そうすると売上が伸びた!
とにかく人間が理屈で動いているのではないことがよくわかる。『運』というものについても、科学的に検証されている。これからはビックデータがますます収集されていくだろうから、さらに興味深い結果が出てくるかもしれない。
占いの本を読むよりも、この本を熟読するほうがいいと思う。あるいは会社の組織づくりで悩んでいる人にもオススメ。とても興奮した本だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。