SOLA TODAY Vol.237
「被告」と「被告人」のちがいがわかるだろうか?
正直いって、ボクは理解していなかった。「被告」は民事訴訟で訴えられた人で、「被告人」は犯罪の嫌疑を受けて起訴された人で、刑事訴訟になる。
だから通信社の記者は、「被告」と「被告人」という言葉をまちがえないように指導されるらしい。ところがいまだにそれが混同して使われているとのこと。
そして現在でもメディアが混乱を招くような言葉の使い方をしている。そのことについて書かれた記事を読んだ。
先ほどの「被告」と「被告人」のちがいについては、この記事で書かれていた。でもそれは例としてあげただけで、問題視されているのは「マイナンバー」と「マイナンバーカード」について。
さて、このちがいがわかるだろうか?
ボクは一応理解していたが、世間的にはどうもそうではないらしい。その大きな理由は、マスコミが混同して使用しているから。
「マイナンバー」は日本国内に住む、一人ひとりに与えられた12桁の番号。
「マインバーカード」というのは、カードの内蔵ICチップに搭載された公的個人認証(JPKI)を利用するもので、マイナンバーそのものは利用しない。ただカードの裏にマイナンバーが書かれているだけ。
ところがニュースの記事の見出しには、以下のように書かれている、とこの記事で紹介されている。
「図書館や病院など公共施設、『マイナンバー』で利用、総務省方針」
「契約書、ネットで発行、マイナンバーが『社印』代わりに、総務省」
「三菱UFJの住宅ローン契約、マイナンバーで可能に」
これらすべては、「マイナンバー」のことではなく、「マイナンバーカード」について言及したもの。「マイナンバーカード」に内臓されたICチップからJPKIを利用することで、このようなサービスを受けられますよ、というのが真意。
だから発行されたマインナンバーを提示しても、これらのサービスを受けることはできない。必要なのは「マイナンバー」ではなく、「マイナンバーカード」に内臓されたICチップだからね。
マスコミはこのまちがいに気づいているのか、それともわかるだろうと思って省略しているのか不明。だけど詳しく知らない人や、年配の方たちにはそのちがいがわからないと思う。
今は運転免許証やパスポートでもICチップが使用されている。「マイナンバーカード」も同様にICチップを利用することで、個人を認証しようというもの。
でも「マイナンバー」と同じに考えてしまうと、行政機関が保有する個人データが、「マイナンバー」でひもづけされるという誤解を招いてしまう。だから反対する人が出てきて、結局はマインナンバー制度が頓挫することになりかねない。
この記事にも書かれているけれど、このまちがいは「被告」と「被告人」を区別しないのと同じくらい、記者としては恥ずべきことらしい。
ボクたちもニュースというものには、このようなことがあるのを自覚するべきかもしれない。たった数文字足らないだけで、デマが事実として広がっていくのが、現代のネット社会だからね。
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