最強の学芸会
天気予報どおり、午後から一時的に突風が吹いて、強い雨が降った。でもおおむね、4月だけれど五月晴れと言いたくなるほど素晴らしい好天だった。
昨日の散歩中に撮影した写真だけれど、このハートマークの新緑が、今の季節の気持ちよさを象徴しているように思う。
ゴールデンウィークが始まって、今日は『昭和の日』だよね。でもボクはつい『天皇誕生日』だと思ってしまう。
ということは、今の天皇陛下が攘夷されたら、12月23日は『平成の日』になるのかな? 年号なんて面倒なだけだから廃止してほしいけれど、そうもいかないのだろうね。
ゴールデンウィークだけれど、ボクは今日も仕事。今夜も残業が決まってしまった。その理由のひとつは、誘惑に負けて午後から映画を観てしまったこと。
候補のなかからもっとも短い時間の作品を選び、つまらなかったら途中でやめるつもりだった。ところが意外に面白かった。
『ダウンタウン物語』という1976年のイギリスのミュージカル映画。
ストーリーはいたって単純。敵対するマフィアの抗争に巻き込まれた、ふたりの男女の恋の物語。映画の舞台は禁酒法時代のニューヨークだから、おそらく1930年代前半の時代設定だと思う。
公開された1976年といえば、マフィア映画全盛のころ。1972年に『ゴッドファーザー』が公開されているというのに、なぜこんなベタなマフィア映画を作ったのか? 二番煎じでしかないよね。
その理由は、この映画を観ればすぐにわかる。
だって出演しているのは、すべて子供!
といっても子供の役で出演しているのじゃない。マフィアのボスも、その情婦も、すべて子供が演じている。大人がひとりも登場しないという映画になっている。
ちなみに映画のワンシーンの映像をアップしたけれど、右側の少女に見覚えがないだろうか? マフィアのボスが経営するクラブの歌手で、そのボスの情婦でもある女性を演じている。
なんとこの少女は、子供のころのジョディ・フォスターなんだよ〜〜〜!
とにかく笑う映画。銃をぶっ放すけれど、銃口から飛び出すのは生クリーム。顔にクリームがべったりついたら、撃ち殺されというわけ。クラシックカーのカーチェイスもあるけれど、車は運転手が足で漕いでいる。
バーのシーンでは大人の姿をした子供たちが、「ロックのダブルをくれ」という粋なセリフで注文してジュースを飲んでいる。子供しか出ていないから、まるで学芸会のようだけれど、内容はちがう。最強の学芸会だと言える。
監督はアラン・パーカー。『小さな恋のメロディ』の脚本を書いた人で、僕が観た過去の監督作品は『ミッドナイト・エクスプレル』、『フェーム』、そして『エンゼル・ハート』という作品がある。
あっ、そうそうピンクフロイドの『ザ・ウォール』というアルバムの映像も作っているので、もちろんそれもよく知っている。
子供だけを使うという手法は何度も使えるものじゃない。だけど1度だけならとても効果的だと思う。子供の演技を通して、現代社会に対する批判や皮肉を盛り込むことができる。
子供たちに大人のセリフを言わせ、大人としての演技を演出することで、とてもユニークな映画になっている。映画に関する常識を吹き飛ばすという意味で、実験的だけれど楽しめる作品だと思う。いい気分転換になったなぁ。さて、仕事、仕事!
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