少女から大人になる姿に涙した
ボクのApple Musicのヘビロテに登録されているミュージシャンは、かなりにぎやか。
レディー・ガガ、ケイティ・ペリー、エド・シーラン、DNCE、ザ・チェインスモーカーズ、デュア・リパ、そしてクリーン・バンディット。彼らの現在までのすべてのアルバムを、毎日エンドレスで聴き続けている。自宅にいるときなら、朝起きてから眠るまでのあいだ6時間くらいは聴いている。
聴くのは主に仕事中で、あとはブログを書いているとき、読書をしているとき、そして就寝前。
そのヘビロテに、昨日から新しいミュージシャンが加わった。
2017年5月にリリースされた、ハリー・スタイルズのソロ・デビューアルバムである、このジャケットの『Harry Styles』という作品。
ずっと楽しみにしていたけれど、ようやくApple Musicでの配信がスタートしたので、昨日から早速聴いている。ハリー・スタイルズという名前を知らない人でも、イギリスのバンドであるワン・ダイレクションという名前なら聞いたことはあるだろう。たしかハリーは一時期、テイラー・スウィフトと交際していたはず。
昨年の3月から活動休止中のワン・ダイレクションだけれど、そのメンバーのハリーがソロアルバムを発表した。
先月くらいからヒットチャートを賑わしている、『Sign of the Times』という曲に惚れ込んでいて、このアルバムをゲットしたいと狙っていた。切ないメロディとハリーの美しい声がマッチした作品で、何度聴いても心が揺さぶられる。歌詞もいいんだよね。
まだアルバム全体を2度しか聴いていないけれど、かなりいいよ。これからしばらくは新しい曲を覚えることで、脳が刺激されるだろう。楽しみ!
さて音楽というのは、映画にとっても欠かせないもの。ある曲が映画のタイトルと主題歌に使われたことで、古い曲がリバイバルヒットしたことがある。
『マイ・ガール』という1991年のアメリカ映画。主題歌とタイトルに使われた『マイ・ガール』という曲は、1964年にテンプテーションズがリリースしたもの。ボクはこの映画でこの曲を知った。
物語の舞台は1972年で、主人公のベーダは11歳。ほぼボクと同じ年齢の設定。だからその世界観が、国はちがっても共感できる。アンナ・クラムスキーという天才的な子役が演じている。
ベーダは父子家庭。母親は彼女を生んだことが原因で、出産直後に命を落としている。だからベーダはずっと、「母を殺したのは自分だ」と思い悩んでいる。
さらに父の職業は葬儀屋。常に自宅の地下に遺体が運ばれ、『死』を目の当たりにしてきた。だから死を恐れたベーダは、常に自分がなんらかの病気ではないかという不安にとらわれ、友人のトーマスを連れて病院に日参している状態。
そんな変わり者のベーダを理解してくれる唯一の親友が、そのトーマスというアレルギーを持つひ弱な少年。この役を『ホーム・アローン』でブレイクしたマコーレ・カルキンが、ベーダ役のアンナに負けず劣らずの天才ぶりを見せている。
そんなベーダの前にシェリーという女性が現れる。父の葬儀社に雇われた人で、父と恋に落ちる。そして二人は婚約する。そのことに反感を持ったベーダは、トーマスの協力で妨害しようとするが、上手くいかない。
ベーダには憧れの男性教師がいて、将来結婚したいと子供っぽい願望を持っている。そんな男女の世界に憧れたベーダが、トーマス相手にキスの練習をするのが、先ほどの写真のシーン。
トーマスはベーダが大好きで、「僕を結婚相手の補欠にしてくれる?」とベーダに訊く。ベーダは笑顔でうなずいた。それで気をよくしたトーマスは、隠していた指輪をベーダに渡そうと思って森に入り、蜂に刺されてしまう。アレルギーを持つ彼は、そのまま命を落としてしまう。
ただでさえ母を殺したのは自分だと責めているのに、たったひとりの親友まで自分のせいで命を落とした。さらに父が再婚するのは避けられそうにないし、憧れの教師まで婚約している事実を知る。自分の人生に絶望したベーダは、抜け殻のようになってしまう。
そのベーダを救ったのは、父の再婚相手であるシェリーだった。そしてベーダは母と親友の死を受け入れることで、少女から大人になっていく。ラストの10分くらいは涙が止まらない。久しぶりに観たけれど、こんな素敵な映画だったとは。
特に最後でベーダが自分の書いた詩を朗読するシーンでは、トーマスに対する切ない想いがそれらの言葉に込められていて、涙なしで観ることはできない。でも決して重い作品ではなく、人間の心にある黒い雲が吹き払われたように、見終わってから気持ちのいい笑顔になることができる。
きっと自分が少年少女から大人になったときのことを、心のどこかで思い出すからだろう。だから大人が観るべき映画だと思う。公開当時に観たよりも強い感動を覚えたのは、人生の時間の経過がなせる技かもしれないね。
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