ませたガキの記憶はいい加減
梅雨入り前の心地いい気候が今日も続いている。歩いていると本当に気持ちいい。
近くの小学校では行事があったようで、土曜日なのに体操服を着た子供たちが朝から通学していた。この時期に運動会なの?
よくわからないけれど、いい天気なので屋外での行事にはもってこいだろう。ということは月曜日は代休なのかな。ボクたちが小学生のころとちがって、子供たちの休日は確実に増えているよね。
ボクは小学生のころから変わり者。といってもバレないように注意していた。小学校2年生のころにビートルズが好きなことは隠していた。頭のなかではいつも『Let It Be』が流れているのに、学校の友人とは当時全盛の歌謡曲についての話題に花を咲かせていた。
だから日本のテレビドラマや邦画の話題には対応していたけれど、心のなかでは「映画は洋画だよ!」とうそぶいていた。唯一の例外は『ゴジラ映画』かな。ゴジラに関してはほぼすべての作品を観ている。
幸い父親が洋画好きだったので、ときどきは映画館に連れてもらった記憶がある。父と一緒に行った記憶があるのは『タワーリング・インフェルノ』と『ウエスト・サイド物語』かな。あっ、『チキチキバンバン』という映画も観たような気がする。
そんなボクだから、洋画はほとんどひとりで観に行っていた。昨日観た映画も、中学校2年生のときに映画館に行った作品。タイトルで懐かしくなって観ようと思ったけれど、まったく内容が思い出せない。
「映画は洋画だよ!」と偉そうに言いながら、ませたガキの記憶が、いかにいい加減なものか思い知った。そんな反省を込めて、しっかり復習した。
『カサンドラ・クロス』という1976年に公開された、イタリア、西ドイツ、イギリスの合作映画。
当時はパニック映画ブームで、『ポセイドン・アドベンチャー』や『タワーリング・インフェルノ』と同様に、列車でのパニックを扱った作品。
なんとなくは覚えていたけれど、終盤に近づくまで全貌を思い出すことはできなかった。まぁ、そんなものだよね。
でも当時としてはよくできた映画で、ツッコミどころはあるとしても、今でも十分に楽しめる映画だろう。ハラハラドキドキしながら、最後まで真剣に観てしまった。
ジュネーブの国際保健機構に、テロリストが爆弾を仕掛けようとする。ところが失敗して逃亡しようとするが、その際アメリカが極秘で開発していた肺ペスト菌の部屋で銃撃戦になる。おそらく細菌兵器として開発していたものであろう。とんでもなく強い感染力を持っている。
その肺ペスト菌を保菌したテロリストが、大陸横断鉄道に逃げ込む。1000人の乗客が乗った列車内では、次々に感染者が出てくる。ヨーロッパの各国は感染を恐れて列車の停車を許可しない。
さらにアメリカとしては極秘の細菌兵器が明るみになることを恐れ、できることなら列車ごと葬りたいと考えている。そのとき目についたのがカサンドラ・クロスという鉄橋。1948年以来廃線になった鉄路にあるもので、いつ崩壊してもおかしくない。
さて列車内の感染者はどうなるのか? そしてカサンドラ・クロスを無事通過できるのか?
気になる人は古い映画だけれど、観る価値はある作品。きっと楽しめるはず。
列車に乗り込んだチェンバレンという医師が大活躍する。その医師を演じているのは、リチャード・ハリス。それって誰? と思う人は、『ハリーポッターと賢者の石』を思い出して欲しい。最初のダンブルドア校長を、2002年に亡くなるまでこのリチャードが演じていた。
チェンバレンの元妻であるジェニファーを、ソフィア・ローレンが演じている。このふたりの大活躍で物語が進行する。さらに麻薬密売人の役で、マーティン・シーンが登場する。まだ30代の彼は、息子のチャーリー・シーンによく似ていた。やはり親子だよね。
その密売人を追う刑事役の、O.Jシンプソンも良かった。きっと2年前に出演した『タワーリング・インフェルノ』の警備員役が評価されての抜擢だろう。
そしてアメリカの将軍役を演じたバート・ランカスターはさすがの演技だった。国家機密を守るために、1000人の命を犠牲にしようとする。そのことについて葛藤しているのか、平気なのか読み取れない。それがかえって良かった。『フィールド・オブ・ドリームズ』で優しい老医師を演じたバートとはひと味ちがって、とても素敵だった。
子供ながらに、なかなかいい映画を選んで映画館に足を運んでいたと思う。まぁ、まったく内容を覚えてなかったけれどねw
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。