SOLA TODAY Vol.300
インバウンドの人たちが日本に大勢来ていただいていることで、ホテルが不足している。東京五輪を控えている日本にとって、もはや民泊を無視することができなくなってきた。
Airbnbは海外では普通に使われているし、日本でもその営業に関わる人が増えてきた。ただし日本には法律の壁があって、ようやく民泊はスタートしたばかり。
今月の9日に住宅事業宿泊法が成立して、早ければ来年の1月から施行される予定。
今のところ個人で営業している人を見かけるけれど、大手企業の動きが報道されることはあまりない。特に賃貸物件を抱えている不動産業にとって、ビジネスチャンスのはず。
ところが法律の成立を受けて、ようやく大手が動きを見せた。
住宅の所有者グループから提訴されて、最近はいい話を聞かなかったレオパレス21。ボクは民泊が解禁されたら、この会社がもっとも動きやすいと思っていた。なぜなら電化製品等が常備されているので、ホテルのような営業形態をとることができるから。
そのあたりは会社も考えていたようで、どうやら民泊に向けて環境を整えつつあるらしい。
大手の強みは資金力による環境整備。レオパレスの賃貸業務において、契約を電子的に済ませる仕組みや、家賃等の電子決済が導入されている。さらに部屋の鍵をスマートフォンやインターネットで開閉できる、スマートロックの導入も進めているとのこと。
これらのインフラが軌道に乗れば、利用者はアプリを通じて宿泊契約をすることができて、会社としては面倒な手続きを減らし人件費を抑制できる。海外の人にしても、うまくいけば顔を突き合わすことなく宿泊できる。
このあたりは個人ではなかなか対応できないことだよね。この会社は57万戸の賃貸物件を管理していて、平均入居率は90%ほど。だから残りの10%を有効活用できるという目論見だろう。
外国人の賃貸契約者も多く、入居者へのサポート業務は英語や中国語、韓国語、ポルトガル語、ベトナム語に対応している。だからそのノウハウを、海外旅行者の対応に生かすことができる。
まぁ、黙っているとは思わなかったけれど、これだけサポート態勢が取れていたら、個人では対抗できないだろうなぁ。個人業者としては、大手の会社にできないきめ細やかな対応を『売り』にするしかないかも。
でもこの記事によると、大手企業には大きな壁がある。
それは営業日数が、1年で180日を超えないという規定。せっかくの民博解禁の法律が、この規定で骨抜きになっている。
この日数を超えると旅館業法の対象となるので、民泊営業ができなくなる。旅館やホテル等の既得権益者が必死で守った最後の砦だろうね。この規定が存在する限り、大手企業は二の足を踏むことになる。これでは採算を取る算段ができない。
今の段階では、微妙なバランスで成り立っている法律だと思う。もし本格的に民泊を進めるのならば、思い切った規制緩和をしないと、大手業者は参入できない。レオパレスはその緩和を期待しつつ、すぐにでも動ける体制を整えているのだろう。
ここしばらくは、そうした駆け引きが続きそう。今後の成り行きを注目したいと思っている。
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