時間は巻き戻せない。だけど…
昨日の天気予報では、今日の午後から大雨とのことだった。でも大雨どころか、雨の降らない雲が多いだけの1日だった。
我が家の近所にある私立女子中高生は日ごろの精進がいいせいか、いつも行事が滞りなく開催される。この夏の暑い時期なのに、今日はバレーボール大会だった。普通なら梅雨の雨か、熱中症を心配する時期のはず。
ところが雨は降らないし、太陽は隠れて心地よい風が吹き、水分補給さえ忘れなければ球技大会をするのに最高の天気だったと思う。朝から午後まで、ずっと元気な声が聴こえていた。よっぽど心がけのいい子供たちばかりなのかもねw
こんな天気だけれど、我が家の周辺もようやく蝉が鳴き始めた。まだ数は少ないけれど、元気な声が耳に届く。
昨日の散歩中に見つけた、今年初めての蝉の抜け殻。このフェンスは先ほどの学校のフェンスで、8月になるとたくさんの蝉の抜け殻で満員御礼になる。今のところは、必死で探さないと見つからないけれどね。
中学生や高校生というのはこれから未来があって、ある意味うらやましいと思うことがある。ボクがそんな年齢だったころ、そんな貴重で大切な時間だと思いもしないで、日々を漫然と過ごしていた。今から思うと、本当にもったいない。
例えばその当時から小説を書こうと思っていたら、今ごろはもっとちがう人生だったんじゃないだろうか?
なぜそんなことを思うかといえば、先日に読んだ本のせいだと思う。
『作家の履歴書 21人の人気作家が語るプロになるための方法』という本。寄稿されている作家は、この本の表紙に書かれているように著名な作家ばかり。
たまにこのような本を読んで刺激を受けるのだけれど、ボクの場合は同時に落ち込むことが多い。作家としてのノウハウではなく、履歴という部分にへこむ要素がある。
ボクが初めての本を出版したのは2012年の1月で、かろうじて40代だった。だけどその年の5月には50歳になっているので、一般的に言えばかなりスタートが遅い。でもこの本で履歴を紹介しているような作家は、遅くても30代のころにはデビューしている。早い人なら10代だからね。
そう考えると、もしかしたらボクは人生を無駄に過ごしてきたんじゃないだろうか? そんな風に思えて気持ちがふさぎ込み、言葉にできない焦りを感じる。自分の人生の残り時間を考えると、じっとしていられなくなる。どうしてもっと早くスタートしなかったんだろう。そんな後悔ばかりを心のなかで繰り返している。
でも冷静になると、時間は巻き戻せないことを知っている。そしてもし10代のころに今の人生を志したとしても、結局はそうならなかったことがわかっている。ボクにとって50代を迎えるまでの経験は、どうしても必要なことだった。それがなければ、何も書けなかっただろう。
そう考えるとすぐに元気が出るし、今日も午前と午後にかけてしっかりと新作を書いている。だけどついつい、年齢を言いわけにしているときがある。人間というものは弱いから、言いわけを作って逃げようとする。だからこそ、あえてこういう本を読むことの価値があると思っている。現実を直視するためにね!
ウダウダ考えても仕方ない。自分に与えられた時間を、精一杯生きるしかない。時にはへこんで、後悔しまくって、どうにかこうにか前に進むしかない。そういう意味で、読んでよかった本だった。
面白かったのは、それぞれの作家の趣味を尋ねたとき。かなり多くの人が、読書と映画をあげる。ところが決まったように、「あぁ、それは趣味じゃなく仕事だよね」と訂正する。ほとんどの作家がそうだった。
それはボクもまったく同じなので、ちょっとうれしかった。読書や映画は趣味であるけれども、貴重なインプットの機会であり、大切な仕事であると認識している。だから本を読まない日はないし、2日以上映画を観ない日もない。そう言い切れるほど、今年になってインプットを重視している。
現在読んでいるSF小説がめちゃめちゃ面白い。今夜に続きを読むのが楽しみ!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。