お金と幸せの答え
ニュースを見ると猛暑、猛暑の文字が躍っている。でも今日の神戸は涼しいんだよね。気温はそこそこ高いだろうけれど、気持ちのいい風がずっと部屋を吹き抜けているので、かなり快適に過ごすことができた。
このあとにわか雨が降りそうなので、さらに涼しくなるかな。ここ数日は熱帯夜が続いているけれど、毎日気持ちよく眠ることができている。熱中症の大敵は睡眠不足だから、毎晩吹いてくれる神戸のさわやかな風に感謝している。
この百日紅の名前はシャルロット。『ゼロの物語』の第3部に、その実名で登場してもらった。物語では、アカシックレコードにある図書館の立会人の役だけれどね。彼女から自分の名前を名乗ってくれたので、通りかかったらいつも「シャルロット」と呼びかけている。今年も美しい花を見せてくれて、とてもうれしい。
世間は3連休だけれど、ボクはいつもと同じ日々。自宅にいるときは仕事をして、映画を観て、本を読む。何があっても、それを繰り返している。去年の冬至からずっと休まず仕事を続けているけれど、ようやくその利点がわかってきたような気がする。
新しい物語を書くとき、日々続けることのメリットは、一時中断することによるデメリットをはるかに超越することを実感できるようになった。ボクの内部で物語が途切れず活動していて、散歩をしているときでも、お風呂に入っているときでも、そして眠っているときにも『何か』を放っている。
その『何か』はすぐには目に見えないけれど、やがてインスピレーションという形を伴って降りてくる。今月に入ってそのことを実感することが多いので、多くの作家が毎日少しでも書き続けている理由がわかってきたように思う。少なくとも、ボクにとってはそのリズム感が大切だと確信している。
さて、とても面白い小説を読んだ。勉強になるし笑えるし、そしてちょっぴり切なくなってから、ほんわかと心が温まる作品。
『億男』川村元気 著という本。
主人公の一男は、突然死んだ弟の借金を背負う。全部で3000万円もある。そのために図書館の司書の仕事以外に、深夜までパン工場で働くようになる。だけどそのことで妻とうまくいかなくなり、妻は一人娘を連れて家を出てしまう。
それでも一男は働き続けた。そしてある日、久しぶりに小学生の娘と会ったとき、商店街の福引で10枚の宝くじを景品としてもらう。その宝くじの発表を確認すると、なんと3億円が当選していた。『億男』の誕生というわけ。
これで借金を返して、妻と娘と再び一緒に暮らせる。そう思った一男だけれど、突然の大金を手にして不安になる。ネットでの意見を参考にして現金にしてもらったが、カバンに詰めてアパートの押入れにしまい込んでいる。
困った一男は、唯一の親友である九十九という男に相談する。学生時代に親友だったが、ある事件があって音信不通になっていた。九十九が『お金と幸せの答え』を見つけるまで一男に合わない、と宣言して以来二人に交流がなくなっていた。
九十九は3人の仲間と会社を起こし、億万長者になっていた。その会社を通信会社に売却したことで、さらに10億円以上のお金を手にしている。総資産は100億円を超えている。その九十九なら、3億円についてどうすればいいか教えてくれるだろう、と一男は思った。
ところが結果的に、その九十九に3億円を持ち逃げされる。一男は九十九を見つけてお金を取り戻すため、解散した九十九の会社の3人の幹部を訪ねる。想像を超えるような大金を手にした3人の話を聞くことで、一男がお金に対する自分の概念を塗り替えていくという物語。
そして最後に、とても素敵な結末が待っている。だけどちょっぴり切ない。
果たして一男は『お金と幸せの答え』を見つけることができたのか? そのことが気になる人は、この小説をぜひ読んでほしい。それが気になるのは、あなたが『お金と幸せの答え』を求めているからだと思う。
この小説を読めば、自分なりの『お金と幸せの答え』が見つかる。かもね〜〜w
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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