SOLA TODAY Vol.328
ボクは生き物の命に直接手をかけるのがダメで、子供のころ以来釣りでさえしたことがない。今の季節になると、どうしても虫が部屋に入ってくることがある。基本的にスルーだけれど、どうしても気になる場合はティッシュでつかまえて家の外に出ていただく。
京都でサラリーマンをしているときも、会社の台所でうろついているゴキブリを見かけたら、同じ方法で逃がしてあげた。そうしないと誰かに見つかったら叩き潰されるからね。そんなボクでも、ごめんなさいと思いつつ殺してしまう虫がいる。
それは蚊。
さすがに部屋に蚊が入り込んだのを放置しておくわけにはいかない。そのまま眠るなんて無理。だから必死で探し出して、成仏させるしかない。
ところがそんな蚊を、ある会社が2000万匹も市街地に放つというニュースを見て驚いた。
Google子会社、細菌に感染した蚊2000万匹を市街地で放つ なぜ?
その会社はGoogleの子会社で、ライフサイエンスの企業、約2000万匹の蚊をカリフォルニア州のフレズノという場所でリリースする準備を進めているらしい。蚊が苦手なボクとしたら、いったいなんてバカなことをやっているんだろうと思ってしまう。ところがちゃんとした理由がある。
この地域にはジカ熱を媒介するネッタイシマカという蚊が蔓延している。そして実際にジカ熱に感染している女性が見つかった。その女性はパートナーとの性交渉によって感染したんだけれど、このまま放置しておくと蚊によってジカ熱が広がる可能性がある。そこでこのプロジェクトが始動した。
2000万匹の蚊はすべて雄なので、人間の血を吸うことがない。この雄の蚊にはボルバキア菌というものを感染させてあって、雌の蚊と交配すると卵子を発生不能にしてしまう。つまり雌を不妊にしてしまう雄をばらまくという方法。
このことによってネッタイシマカの繁殖を防ぎ、根絶やしにしてしまおうとうプロジェクトだった。2013年に初めてこの地域に入ってきた蚊なので、本来の生態系に影響を与えない。そう判断されて実施することになった。
なるほどね。こんな方法があるなんて知らなかった。わけのわからない殺虫剤を散布するより、環境にとってはいいように思う。
だけどちょっと不安を感じるのもたしか。本当にこんなことをして大丈夫なのだろうか?
ボルバキア菌というものは、人間に影響はないらしい。だけど他の生物まで検証したのだろうか? そこまで考えたうえでのことかもしれないけれど、ちょっと気になる。
外来種が入り込んで生態系を狂わせるのは、今や世界中で問題になっている。日本ではヒアリが話題になっているし、日本発のワカメという外来危惧種もある。
でも菌に感染させた蚊を2000万匹も放つことに、どうしても違和感を覚えてしまう。この記事を見ている限りは効果的な方法だと思う。でも人間が予想もしないような生態系の変化を誘発するきっかけになったりしないのだろうか?
物語好きで妄想癖があるボクとしては、ついそんなことを心配してしまう。とにかく我が家に入り込んだ蚊については、速やかに死んでもらうしかないね。
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