自己暗示で世界はできている
今日は神戸市立の小中学校が終業式で、明日から子供たちは夏休み。子供のいないボクに実感はないけれど、なんとなくウキウキした気分が伝わってくる。自分の子供時代の夏休みの記憶は、前世の出来事のように遠ざかってリアリティがなくなってしまったからねw
とにかくここ数日、マジで暑くなった。まさに本格的な夏。自宅マンションから見える芦屋花火大会は明日だし、神戸三宮花火大会は8月5日。この二つの花火大会が近づくと、夏本番だと感じる。
そんな暑い昨日の夜、さらにカッカする出来事があった。
この写真は『天使のくれた時間』という2000年のアメリカ映画のワンシーン。ボクのブログでは何度も紹介している作品だけれど、昨晩にたまたま地上デジタルの民放で放送されているのを知った。
吹き替えなので気乗りはしなかったけれど、この写真の女優さんであるティア・レオーニの可愛い姿を見ようと思って、風呂上がりにテレビをつけた。でも始まってすぐに熱帯夜で暑いだけじゃなく、カットの多さに腹が立ってカッカしてしまった。
まぁ民放だからカットされるのは予想していたけれど、あまりにひどすぎる。ボクは10回近くはこの映画を観ているから、詳細な部分まで覚えている。おまけにDVD特典のNGシーンや未公開シーンまで記憶しているほどのファン。だからカットされているシーンはすぐにわかる。
それが映画の根幹に関わるようなシーンだから、マジで腹が立ってしまった。放送時間に制限があるのはわかるけれど、少なくともこの映画を愛する人に編集をして欲しいと切に願いたい気分だった。映画というのはストーリーがわかればいいというものじゃない。
一般公開している段階で、監督やプロデューサーが泣く泣くカットしているフィルムが膨大にある。そのことを思えば、そこからさらにカットすることがどれだけ難しいことが理解できるはず。と言っても、そんなことを感じている人を放送局に求めるほうが無理なのかなぁ。
そんな風に怒りながらも、この映画を観ていて感じたことがある。主人公のニコラス・ケイジはパラレルワールドの世界に突然放り込まれる。そこは別れたはずの恋人と結婚して家庭を持っている世界。同然ながら仕事も友人関係もちがってくる。
この映画の場合は、事情を知っているから正気をなんとか保っている。だけど普通の人なら、自分がおかしくなったとしか思えないだろう。周囲の人間が言うことを無条件に信じ。それを真実として無理やりに受け入れていくしかない。
ボクの好きなテレビ番組に『モニタリング』というものがある。先週の放送で、ターゲットの人間に嘘の催眠術をかけるという企画があった。男性の妻をうしろに立たせて、男性に目を閉じさせて催眠術をかけるフリをする。
「あなたには、自分の妻が深田恭子に見えます」という暗示だった。
目を閉じているあいだに、男性の妻が本当の深田恭子と入れ替わっている。目を開けて振り向いた男性は最初は疑うけれど、大勢いる仕掛け人たちが自分の奥さんにしか見えないと語れば、自分だけが妻を深田恭子として認識していることを受け入れるようになる。
本当に催眠術にかかったと思ってしまうんだよね。それでこれは嘘だよと明かすために、本物のレモンを持ってきて、「あなたはこのレモンを酸っぱいと思わない」という嘘の暗示をかけた。だましていることを公表するためのものだった。
だけどその男性は、偽者の催眠術師を信用している。だからどれだけレモンを口にしても酸っぱいと感じなかった。本当に暗示にかかってしまっている。最後に真実を明かされたとき、もう一度レモンを口にすると今度は顔を歪めていた。
他の企画でも周囲の人間が口裏を合わせると、自分がタイムスリップをしていたり、霊が見えたり、未来の孫に会ったことをマジで信じてしまう。
結局人間というものは、自分が信じるものだけを事実として認定しているに過ぎないということだろう。ボクたちにとって、世界は自己暗示で作られているといっても過言じゃない。
喜びも悲しみも、楽しいことも苦しいことも、その実態は相対的だということ。絶対的なものなんて存在しない。自分に起きた出来事をどうとらえるかによって、世界はまったくちがったものになる。ボクたちは自己暗示で作られれた世界で暮らしていることを自覚するべきだと思う。
そう考えることができれば、世界を作っているのが自分だと理解できる。不幸で陰謀がはびこる世界だと感じるなら、それを信じているということ。だけどそれは絶対的なことではなく、他人にとって事実ではない。
だったら、この世界を楽しむほうが得じゃない? 思うようにいかないことがあっても、少し視点を変えれば、それでさえ自分の暗示が作り出したものだと楽しむことができる。せいぜい80年前後しか滞在しない世界なんだから、遊園地に遊びに来た気分で人生を過ごしたいと真剣に考えている。
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