シニアパワーを見せつけられた!
8月1日と言えば八朔。京都の花街では、夏用の絣の着物で正装した芸・舞妓さんが、お世話になっているお茶屋さん等にあいさつ回りをする日。
Tシャツとジーンズでも汗だくになる時期だから、慣習とはいえ大変だと思う。祇園の芸舞妓事務所で働いていたとき、どうすれば汗をかかないか、舞子さんに訊いたことがある。
「気合どす!」
そう気合らしい。日本舞踊の厳しい稽古できたえられているから、そんなすごい気合を使えるんだろうね。
気合のないボクは、朝から掃除をするだけで汗だく。月初めには排水口の大掃除もしているから、マジで暑かった。さすがにシニア世代になってくると、パワーのおとろえを感じることがある。まぁ、ある程度仕方ないよね。
だけど今日観た映画で、まだまだ泣き言を口にするのは早いと感じた。とっても素敵なシニアパワーを見せてもらえる映画がある。
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(原題:The Best Exotic Marigold Hotel)という2012年のイギリス映画。まったくの初見で、予備知識なしで観たけれど、めちゃめちゃ素敵で面白い映画だった。これはかなりオススメの作品。
出演陣がすごい。ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、マギー・スミス、トム・ウィルキンソンという、イギリスの名優が出演している。まさにシニアパワー炸裂という雰囲気。ボクはイギリスの俳優さんが大好きだから、この映画はモロにツボへ入った。
人生の終盤が見え、様々な問題を抱えたイギリスの男女7人。彼らはそんな過去を吹っ飛ばし、優雅なリゾート暮らしをしようと思い、インドのジャイプールという場所を訪れる。ところが写真とはちがい、まるで廃墟のようなホテルだった。
40年連れ添った夫を亡くしたばかりの女性。夫の借金を返済するために自宅を売り、排水の陣でインドへやって来る。
老後を夫婦で暮らすための退職金を、娘の事業に貸して失ってしまった熟年夫婦。本当はイギリスで豪華な家を買いたかったが、あきらめてインドに来る。
人種差別主義の老女だけれど、イギリスで半年も待たされる人工股関節置換手術を受けるために、大嫌いなインドに仕方なくやって来る。
高等法院の判事をしているが、突然退職した男性。少年時代に過ごしたジャイプールに来た目的は、ゲイだった彼が唯一愛した男性と再会するためだった。
そして、金持ちのインドの夫を探しにきた女性や、人生最後のロマンスを求めてやって来た女たらしの男性という7人。
支配人は亡くなった父親から相続したホテルをなんとか守ろうとする、ソニーという若い男性。
とにかく笑える映画。そしてほろりと涙を誘われる。ボロボロのホテルを通じて、7人の男女が自分の人生で抱えて来たものと折り合いをつけようと必死になる。そして若い世代に負けず劣らず、自分の未来へ向かって突き進もうとする。その真摯な姿に心打たれる。
俳優さんの演技が素晴らしいので、2時間があっという間に過ぎてしまう。こんな素敵な映画あるなんて、全然知らなかった。
2015年には続編も作られているらしい。このメンバーにリチャード・ギアが加わるそうなので、ぜひ観なくては。
人生を生き生きと過ごすのに、若いとか年寄りとか関係ない。今の自分が何を決断して、どう動くかということ。そのことを強く感じさせてもらえる映画だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。