SOLA TODAY Vol.348
ネットに飛び交う情報でいやでも目にするのが健康情報。こうすればガンにならないとか、ああすれば脳卒中にならないとか。
ボクがそんな記事を見ていてもっともムカつくのが、著名人が病気でなくなった直後に、その人の治療方法や生活態度がまちがっていたと専門家ぶって記事にする人。家族を失った人の気持ちをまったく考えない、人間として最低の行為だろう。
とにかくそうした情報はあふれかえっている。特に多いのが食事に関すること。身体にいいものを食べたいのは誰しも思うことだけれど、何が正しいのかわからない状態。特に添加物や農薬に対する否定的な意見は根強く、そうしたものを含む食品を諸悪の根源のように見なしている人が多い。
それが発展すると肉食の弊害を説く人や、食べることそのものを拒否する『不食』を訴える人も出てくる。もしそうした記事を真に受けてしまったら、普通に食事をしているだけで罪悪感を持ってしまうことになりかねない。
なんかおかしくない?
何をやろうと本人の自由だけれど、それを絶対的なものとして他人に押し付けることだけはやめてほしい。
そんな食の情報に関する記事を読んだ。
食の世界はニセ情報だらけ おいしく健康的に食べるには何が必要か?
ネットで流れている食の情報が、どれだけ適当なものかを論じた記事。なかなか面白い内容だった。何が正しいかではなく、そうした情報にどのようにして接するべきか書かれている。
食の情報として信奉されている概念として、自然のものは身体に良くて加工品はダメだ、というもの。ところが科学的な視点で見ると、そうだとは言い切れないらしい。
合成保存料には食中毒を防ぐ効果がある一方、米やひじきの自然な食品には発ガン性物質が含まれている。農薬にしても、病気を招くカビや微生物を防ぐ効果があり、農薬を使わないオーガニックの野菜のほうが安全性の低い場合もあるらしい。
この記事の著者が特に問題視しているのが、ネットに流れるデマ情報。なんの根拠もない食品情報が、たれ流しになっている。そんなものをいちいち気にしていると、デマに翻弄されてしまうだけ。
著者はそうした情報に触れる際の注意事項をこう述べている。
(1)自然・天然は安全、人工合成物は危険という思い込みこそが問題。
(2)特定の食品を食べるだけでは健康にも不健康にもならない。
(3)健康効果をうたう食品には科学的根拠が薄いものも多い。
(4)美味しさと栄養を考えてバランスよく食べることが結局は健康的。
なるほど。もっともだと思うけれど、では具体的にどうすればいいのかが見えてこない。個々の食品にこの基準を当てはめるとしても、最終的には自分が判断するしかない。そうなると結局は人によってちがう判断になってくるだろう。
ボクはそれが答えだと思う。
一人の人間でも、その日によって体調はちがう。昨日食べた食事が、今日の自分に適しているかどうかわからない。ましてや他人の身体のことなんか、参考にならないと思ったほうがいい。
先入観を排除して、どれだけ素直に自分の身体の声を聴き取れるかどうかだと思う。その瞬間の身体が欲しているものは、身体に訊くのが1番。つまり本当に自分が食べたいと思うものを、周囲がなんと言おうと食べるべきだろう。
ただ難しいのは、その声が身体のものか、自分のエゴが発するものかの見分けがつかないこと。その声を聴き間違うと、アルコール依存症になったりする。それは何度もトライして、自分の身体で感じていくしかない。
結果として加工食品を食べようが、オーガニック食品を食べようが、肉食をしようがベジタリアンであろうが、さらに不食であろうが、それはその人にとってだけの答えだということ。
それで自分が健康になったからといって、他人にも通用する普遍的なものではないということを自覚するべきだろうね。この記事を読んで、そんなことを感じた。
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