空想、それとも幽霊?
昨日の気持ちいい風は夜も吹き続けてくれたので、かなり涼しい朝になった。神戸の今朝の最低気温は25.6度だから、ギリギリ熱帯夜というところ。毎日こんな気温なら、真夏なんて楽勝なんだけれどね。
ところが過ごしやすい気温なのに、昨晩は意外と寝つきが悪かった。それは今書いている小説に関して、新しいアイデアが突然に降りてきたから。ちょっとテンションが上がるようなアイデアだったので、そのことを考えていると眠れなくなってしまった。
だから今日は午前中と午後をかけ、新しいアイデアに基づいて、すでに書いた部分を修正した。前にもこのブログで書いたけれど、そのアイデアは昨日の部分まで書いたから降りてきている。じっと待っていてもやってくるものじゃない。
最初から完璧なものが降りてくるのじゃなく、物語というものはこうして紆余曲折しながら完成していくものだろう。そのことを信じて、どれだけ書き続けることができるかが大切になってくると思う。
既存の物語は、世界中の作者がそうして完成させていったはず。そしてそれが大勢の人を感動させている。
ボクは、今日そんな感動に出会った。ある映画を観たんだけれど、感動のあまり脱水状態になってしまうんじゃないかと思うほど泣いた。こんなに号泣したのは本当に久しぶり。
『思い出のマーニー』という2014年のアニメ映画。ジブリ作品でまだ観ていなかったので、先月テレビで放送されたものを録画しておいた。
予備知識なしで観たけれど、まさかこんな作品だとは思いもしなかった。これは子供向けじゃないよね。きっと感動して泣いた人は、ほとんどが大人だと思う。これはネタバレしないと語れないので、これからこの映画を観ようと思っている人は、このあとを読まないでほしい。
主人公は12歳の佐々木杏奈。両親と祖父母を幼いころに亡くし、里親に育てられている。だけど喘息を患っているのと、ある出来事があってから自分の感情を見せないようになった。育ててくれた二人を突然、おじちゃん、おばちゃんと呼ぶようになり、心を閉ざしてしまう。
そんな杏奈を心配した里親は、彼女を夏休みのあいだ、北海道の田舎に住む親戚に預けることにする。自然豊かな土地で、近くに海岸もある
杏奈はある日、海岸の向こうにある古い洋館を見つける。今は誰も住んでいない廃墟なのに、初めて見たような気がしない。干潮時にはなんとか歩いていけるので、その洋館まで足を運んだこともある。
やがてその洋館で不思議な出来事に遭遇する。誰も住んでいないはずの洋館にマーニーという少女がいた。金髪で青い目をした外国人。マーニーはずっと杏奈を待っていたといい、彼女に秘密の親友になってほしいと頼む。
そこからファンタジーのような世界に入る。杏奈がマーニーに会っているときは、その洋館は当時のように生き生きと存在している。マーニーの父母が主催するパーティーにも杏奈は招待される。だけど昼間に見ると、ただの廃墟でしかない。
だけどその洋館には新しい住人がやってきて、東京の家族が改装して住むことになる。その家のさやかという少女と友人になった杏奈は、あるものを手に入れる。それはマーニーが書いた直筆の日記だった。その古い洋館の戸棚に隠されていた。
マーニーは杏奈の空想なのか、それとも実在の人物なのか? あるいは幽霊?
物語が進行することで、やがてマーニーの正体がわかる。この事実がわかった時点で、ボクは号泣してしまった。杏奈の瞳が、なぜ薄いブルーをしていたのかわかる。そしてマーニーとの出会いの意味とその正体を知ることで、杏奈は本来の自分を取り戻す。
マーニーという少女は、杏奈が幼いころに亡くなった彼女の祖母だった。そしてその洋館は、マーニーが幼いころに実際に暮らしていた家だった。
心を閉ざした杏奈を助けるため、祖母であるマーニーが同じ年ごろの自分に戻って会いにきたとしか思えない。「いつまでもあたなの友達よ。わたしのことを忘れないで」と言ったマーニーの言葉は、祖母が孫娘に発したものだった。思い出すだけで泣けてくる。ボクはこういう物語に弱いんだよねぇ。
この物語はイギリスの小説で、原作の主人公はアンナという名前で登場する。それを現在の日本に当てはめるため、杏奈という名前にしたらしい。だけど金髪のマーニーはそのまま使ったとのこと。こうなると原作が読みたくなった。早速図書館で借りて読んでみようと思う。
今日はお盆の入りで、先祖をお迎えする日だよね。偶然にも、亡くなった祖母と孫娘に関する映画を観ていることに少し驚いた。いやいや、偶然じゃないかもしれないね〜〜!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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