SOLA TODAY Vol.359
ネット上にデマが流れているのは、普通のことだと思ったほうがいい。そう意識しているからこそ、目にする情報を取捨選択することができる。
だがそんなネットに慣れている人でも、テレビの情報に関して警戒心のゆるむことがある。幼いころからテレビを通じて情報を得てきた経緯があるので、無条件に信用しているところがあるのかもしれない。
ましてやネット情報に触れる機会が少ない人たちは、テレビで言っていることを盲信することが多い。年配の人たちにとって、テレビが嘘をつくはずないという根拠のない確信がある。ところが今やテレビは、ネットのデマを垂れ流している状態らしい。
なぜ、テレビはネットのデマに踊らされるのか 番組制作者らが語る5つの危機
現在のテレビ界の状況がうまくまとめられている記事。ボクはほとんどワイドショー的なものを見ないのであまり知らなかったけれど、最近ではこんなデマがテレビで放送されていたらしい。
フジテレビ「ワイドナショー」(5月28日)。「宮崎駿さん引退宣言集」のコーナーで実際の発言ではないものを紹介
フジテレビ「ノンストップ!」(6月6日)。人気アイス「ガリガリ君」で存在しない味を紹介
TBS「世界の怖い夜」(7月19日)。一般人の写真に何者かが修正を加えたものを本人に無断で心霊写真として紹介
3つ目の心霊番組はボクも見ていたから、その後の経緯も知っている。それにしても質の悪いミスだよね。ちょっと時間を割いて裏を取れば、防げることばかりだろう。そんな手間を惜しみ、ネットで目にしたものをそのまま流してしまう。
なぜそんなことになっているのか、この記事で理由が示されている。
・ネットリテラシーの低さ
・バラエティと報道 垣根の消滅
・予算の削減
・慢性的な人手不足
・売れっ子ディレクターの争奪戦
なるほどね、という理由。ネットリテラシーの低さは、正しい情報が判断できない。ワイドショーは報道化しているのに、ニュースのようなチェックが入らない。予算が少なかったり人手が足りないと、内容を確認する余裕がない。優秀なフリーのディレクターは番組をかけ持ちするから、質が落ちてしまう。
こうして並べてみると、末期的な症状のように感じてしまう。かなり深刻だわ。こうなるとネットだけでなく、テレビという媒体もデマが飛び交っていることを自覚する必要がある。でないとあり得ない情報に振り回されてしまうことになる。
ところがテレビを信用している年配の人だけでなく、若い世代にも不安を感じている。幼いころから携帯電話やネットが存在している20歳前後の人たちについて、かなり不安に思うことがあった。
先日、MacBook Airの修理店に行ったときのこと。ほとんどの客がiPhoneの修理なので、大勢の若い人が訪れていた。ボクが時間待ちをしていると、次々と故障したiPhoneを持参した人がやってくる。
3人くらい連続で見ていたけれど、口をあんぐりするようなやり取りだった。予約なしで来るのは仕方ない。だけど修理に何が必要かくらいは、ネットで前もって調べることができるはず。
受付の男性が「バックアップを取られていますか? 修理をするとデータがすべて消えてしまいますよ」と訊ねると、その3人は口裏を合わせたかのように「えっ、マジっすか?」と驚いている。
こっちが「マジっすか?」と訊きたくなった。そんなこと常識だと思っていたけれど、その人たちは頭の隅にもなかったらしい。若いからといって、ネットリテラシーが高いとは言えないということ。
きっとこういう人たちがネットで流れているデマを鵜呑みして、拡散していくんだろうな。テレビ業界だけのことではなく、全般的にこういう傾向があるのかもしれないね。
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