最後に笑うものは?
先週の金曜日で子供たちの夏休みは終わっているけれど、すぐに土日だったからイマイチ実感がなかった。
だけど週が変わって朝の通学時間の賑やかな声だけでなく、午後の帰宅時の子供たちの声を聴くと、久しぶりに平日モードの気分になった。同時にここのところ涼しいから、すっかり気分は秋だよね。
何がいいって、窓を閉められること。エアコンのない生活をしていると、真夏はどうしても窓を網戸にして開けざるを得ない。必然的に外の音を拾うので、何かとやかましい。テレビを見ようとしても、外の音がうるさくて聴こえにくい。
まだ字幕放送の洋画なら何を言っているかわかるけれど、日本語のドラマや吹き替えの映画なら、何を言っているのかさっぱりわからない。だけどテレビの音量を上げると、音楽になったらびっくりして飛び上がることになる。だからリモコンを手にして、セリフのときは音量をあげて、音楽になればあわてて下げるという熟練の作業が必要となる。
今日の午後は字幕の洋画を観ていたけれど、窓を閉めているのでかなり音量を下げて、かつ落ち着いてゆっくりと観ることができた。2時間半を超える長い映画だったけれど、久しぶりに周囲の音を気にせずに映画を楽しむことができた。
その映画は『ジャッキー・ブラウン』という1997年のアメリカ映画。監督はクェンティン・タランティーノで、あの有名な『パルプ・フィクション』の次の作品になる。
『パルプ・フィクション』ではサミュエル・L・ジャクソンとジョン・トラボルタのギャングコンビに、ブルース・ウィルスが絡んで最高に面白い映画だった。今回の作品で、そのサミュエル・L・ジャクソンとコンビを組むのは、なんとロバート・デ・ニーロ!
『パルプ・フィクション』と似通った作品ではあるけれど、ボクとしてはかなりウケた。2時間半のあいだ、まったく退屈せずに楽しめた。とにかくサミュエルが最高で、かなりクレイジーな武器の密売人を見事に演じている。
その相棒であるロバートの、なんとも言えない小物感がとても良かった。結局彼らしいいつもの存在感を見せることなく、サミュエルに殺されてしまうという展開。こんなロバート・デ・ニーロは、そうそう観られないからレアだよね。
でも主人公はタイトルにあるとおり、ジャッキー・ブラウンを演じた黒人女性のパム・グリア。警察はサミュエルが演じるオデールを追っているが、なかな尻尾をつかめない。ところが旅客機のCAであるジャッキーは、メキシコからオデールの売上金を運んでいるときに逮捕されてしまう。
仕事を失うことを恐れたジャッキーは、警察に取引を持ちかける。オデールはメキシコに50万ドルの資金を隠している。その金銭をおとり捜査でアメリカ国内に持ち込むので、オデールを逮捕して欲しいと言う。
ところがジャッキーはオデールに、警察をうまく騙して安全に資金を運び入れると語る。それどころか自分の保釈に力を貸してくれた保釈屋のマックスに、オデールの50万ドルを奪う計画を持ちかける。
ジャッキーの本音はどこにあるのか? 誰と会っているときも事実に見える行動するので、彼女の本音が最後までわからない。そのあたりの駆け引きと、オデールから50万ドルを奪う過程が、めちゃめちゃ面白かった。
脇を支える刑事役のマイケル・キートンや、麻薬ジャンキーのバカ女を演じたブリジット。フォンダもさすがという素敵な演技だった。これでこそタランティーノという、彼らしい作品だったなぁ。エグいシーンもほとんどないので、タランティーノ作品の初心者にはオススメの映画だと思う。
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