SOLA TODAY Vol.377
神戸に引っ越してきて、今年の11月で満9年になる。そのときは新築だったマンションも、それなりに年数の経過を感じるようになった。
そして間もなくやってくるのが大規模修繕。たいていのマンションは築10年〜15年までの期間に最初の大規模修繕が行われる。ボクは京都に住んでいたとき、一度経験している。
マンション全体を足場が囲み、どことなく息苦しく感じた。でもミューナなんかは、バルコニーにやってきた作業員さんに遊んでもらって、かなり楽しそうだったなぁw
大変なのは多額の費用がかかること。そのために修繕積立金を毎月払っているが、入居当初よりは値上げされるのが普通。そんな修繕積立金の使い道について、ゾッとするような記事を読んだ。
ゾッとしたけれど、驚かない。この記事の趣旨は、マンションの所有者が支払っている大規模修繕の費用に、多額のリベートが含まれているというもの。悲しいかな建築業界におけるリベートの横行は、20代のころに目の当たりにしていた。
ボクが父親の会社にいるとき、日本人で知らない人がないほど有名なお寺で仕事をした。ボクの会社は下請けだったが、お寺の担当者はそのことを把握していない。だからあからさまに賄賂を要求されたことがある。そうしてお坊さんは私腹を肥やしている。聞いたらびっくりするお寺だよ。
つまりその費用が、下請けにも回ってくるというわけ。その構図は建築業界では常識のようになっている。ボクが税理士事務所にいるときも、同じようなことがあった。
大阪で自営業をしている人で、ビルの基礎工事を請け負っている事業主がいた。帳面を見ていると、意味のわからない現金が支出されている。事業主に尋ねても言葉を濁すので、愛人に貢いでいるお金かと思ったw
ところが貢ぎ先は、元請けの担当者だった。毎月何十万円もの現金を渡さないと、仕事を回してもらえない。もちろん元請けの会社は黙認しているから、担当者個人のふところに入るだけ。だけど事業主にしたら使途不明金だから、経費で落とすことができない。
当然ながら、マンションの大規模修繕にも同じことが起きている。いまだにその悪習は続いているらしい。先ほど書いた京都のマンションの大規模修繕のときに、決算書を見て驚いたことがある。
マンションの管理会社に、工事管理費として多額の金銭が計上されていた。少なくともボクが見ている範囲で、管理会社がその金銭に値することをしていたと思えない。どちらかといえば、普段より仕事をしていないと感じたくらい。
つまり少ない管理費でマンション管理を請け負っているのは、大規模修繕という美味しい収入があるから。毎月の管理費を安く設定することで他社との競争に勝ち、管理組合と癒着して大規模修繕で稼ぐ。
だけどまだこれは、経費が明らかにされているだけマシかもしれない。この記事によると、最近では設計コンサルタント会社に施工管理を依頼することが増えたらしい。管理会社だけでなく、もうひとつ会社が絡むことになる。
施工業者は工事を受注するため、その設計コンサルタント会社に多額のリベートが支払われるとのこと。管理会社の息がかかった会社だとすると、住人は二重に必要のない費用を支払っていることになる。やっぱりゾッとするよね。
最近注目されているのは、業者の談合やリベートの有無を見抜き、管理組合サイドでアドバイスしてくれる「顧問」を置くことが増えているらしい。利害関係のない第三者をあいだに挟むことで、工事費用を適正化しようというもの。
ボクのマンションも大規模修繕の計画が進んでいる。さてさて、どのように修繕積立金が使われるのか気になるところだね。
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