SOLA TODAY Vol.385
JR六甲道駅の南側には、神戸の震災のあとに作られた広場がある。かなり広い敷地で、西南の角に子供用の遊具が置かれ、それ以外は芝生が敷かれて市民の憩いの場となっている。
平日によく見かけるのは、その芝生の広場で遊んでいる保育園児たち。自動車は入ってこないし、芝生なので転んでも大した怪我をしない。楽しそうに遊んでいる姿を見ていると、こちらも愉快な気分になってくる。
保育園からその広場に移動するため、よく使われているのが大型のベビーカー。6人くらいの園児がそのなかに放り込まれて、料理を運ぶワゴンのような雰囲気で、保育園の先生が子供たちを運んでいる。
その大型ベビーカーについて、今年の9月になってネットで論争が起きた。
発端となったのは9月7日に経済産業省が出したコメント。「電動アシスト機能が付いた6人乗りのべビーカーは『軽車両』に該当するため、道路交通法上、車道もしくは路側帯の通行が求められ、道路運送車両法上、警音器の設置など、『軽車両』の保安基準に適合する必要がある」と見解を示したことで騒ぎになった。
「保育園児を運ぶのに車道を通れとはどういうことか!」という怒りの声が体勢を占めた。自転車も走れる歩道ならいいが、そうでない場合は歩道を使ってはいけないことになる。たしかに子供を預ける親の立場からしたら、不安で仕方ない。
だって歩道でさえ突っ込んでくる車がある時代だからね。ましてや引率している保育園の先生にとっては気が気じゃない。そりゃ反対意見が出るのはもっともだろう。
ただ問題となるのは、電動アシストという言葉。これはある業者が電動アシスト付きの大型ベビーカーの輸入を検討していて、行政サイドに質問したことがきっかけになっている。警察としては、以下のような基準を過去に発表している。
『電動アシスト付きのベビーカーは、大きさとして、長さが120センチ、幅が70センチ、高さ109センチを超えないことや、最高速度が時速6キロを超えないこと』
この基準に抵触したので、業者から質問を受けた経済産業省は、軽車両扱いになるという回答をしたらしい。逆に言えば、電動アシストでなければ、このサイズを超えていても問題ない。その場合は歩行者と同じ扱いであるという見解を、警察は今月の14日に明らかにした。
これで騒ぎは収まったけれど、問題は電動アシスト付きが輸入された場合。そのベビーカーについては、軽車両扱いになる可能性が高い。結局グレーゾーンとなるこうした問題は、行政の対応が後手後手になることが多い。
電動車椅子や障害者用の電動カーは、歩行者扱いになっている。だったらベビーカーもそれでいいように思う。とにかく悲惨な交通事故が起きた結果、あわてて歩行者扱いにするようなことだけは避けて欲しいよね。
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