外国人から見た日本
すっかり涼しくなった。放射冷却の影響があったのかもしれないけれど、今朝はグッと冷え込んだ。でも快晴なので、午前中は思いきって秋の大掃除を決行。
今日は換気扇の大掃除を済ませたので、しんどかったけれどまずまずの気分。そしてその勢いで、冬用の衣替えも済ませた。
面倒なことであればあるほど、やったあとの爽快さは格別。だから気分よく午後の仕事にも集中できた。あと回しが習慣になってしまうと、人生を楽しむこともあと回しになってしまうと思う。思いついたことはとにかくやってみる。そのほうがシンプルに生きられるし、より多くの体験を楽しめるからね。
そんなバタバタした状況でも、しっかりと映画を観ている。これも仕事のうちだから。今日観た映画は、とても素晴らしい作品だった。ここのところ日本の時代劇が続いていたので、久しぶりに洋画をみた気分。ところが舞台は日本なんだけどね。
『ロスト・イン・トランスレーション』という2003年のアメリカ映画。脚本と監督はソフィア・コッポラで、この作品でソフィアはアカデミー脚本賞を受賞している。そのことを証明するように、本当に脚本の素晴らしい映画だったと思う。
ビル・マーレイ演じるボブ・ハリスは中年の俳優で、CM撮影のために来日していた。この映画のタイトルとおり、言葉の通じない日本で撮影にふりまわされて、ちょっとウンザリしている。そのボブが、ホテルのラウンジである女性と出会う。
その女性は、カメラマンの夫とともにアメリカからやってきたシャーロットで、まだ若いスカーレット・ヨハンソンが演じている。めちゃ可愛かったなぁ。このシャーロットも、日本でどことなく違和感を持ちながら過ごしている。
この二人は言葉の通じない日本にいて、どこか孤独を感じている。だけどその孤独は言葉だけでなく、自分の周囲の人との関係もうまくいっていないから。
ボブはアメリカの妻と微妙な関係だし、シャーロットも夫との未来に不安を持っている。そんな同じ孤独を抱えた二人は、一緒にいるだけでそのことを忘れることができた。
この映画のいいところは、この二人が男と女の関係にならないこと。もしそうなったら、この映画は大失敗していたと思う。互いを求める気持ちはあるけれど、それを口にしないまま自分たちの生活に戻っていく。そのうしろ姿に感動するんだよね。
ラストーシーンで帰国するために空港に向かうボブが、雑踏を歩いているシャーロットを見つける。ハイヤーを降りて彼女に声をかけ、熱いキスをを交わして抱きしめたあと、互いに別の道を歩いていく。切なくて、心に残るとても素敵なシーンだった。
そしてこの映画の面白いところは、外国人から見た日本が見事に描かれていること。日本人として嫌味を感じないし、日本のいいところと変なところが、うまく映像化されていたと思う。調べてみると監督のソフィア・コッポラは若いころに日本での滞在経験があり、そのときの感覚を脚本に書いたらしい。なるほどね。
ほのぼのとした気持ちになる、とてもいい映画だった。さすがフランシス・フォード・コッポラの娘。いい映画を撮るわ〜！
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