今、真剣に思っていること
実を言うと、昨日まである文芸賞の最終候補に残っていた。過去形なのが辛いところw
最終選考に残ったという連絡をもらったのが8月の末。約3000件の応募があるという大規模な文芸賞で、そのうち最後の6作品として残った。大手出版社とテレビ局が合同で行っているので、大賞に選ばれると単行本が出版され、かつテレビで映像化される。
でも残念なことに、昨日落選の通知があった。それでヘコんでいたというわけ。そうそうないビックチャンスだったので、さすがに逃したのはキツかった。手の届くところまで来ていたからね。
まだ多少は引きずっているけれど、今日もいつものように新作を仕上げている。ちょうど今日から11月。気分を切り替える目的で、今日のブログを書いている。
ボクの場合、文章を書くことで初めて印税なるものを受け取ったのは5年前の50歳のこと。めちゃめちゃ遅いデビューになる。だけど出版不況と呼ばれている現在において、小説でメジャーデビューすることは悲願。そのために日々書き続けていた。
だから今回の最終選考に対する期待が大きかった。その背景にあるのは、先ほども書いた年齢的なもの。今のボクが30代ならば、それほど気に病まない。簡単に切り替えて、次に進んでいただろう。
でも年齢に対してずっと負い目を感じていたから、かなりショックだった。なぜなら残った6作品の著者のなかで、ボクが当然ながら最年長だったから。ほとんどの人が30代という年齢だったからね。
落選したのは自分の力が及ばなかったからだと思っているし、そうだと理解してる。だけど、もし年齢が理由だとしたら?
出版社の立場にしてみれば、これから売り出すのなら若い人のほうがいいのは当然。将来性に期待するだろう。だからもし6作品が同じレベルの出来だったとしよう。そうなると、ボクが最初に弾かれてしまう可能性が高い。仕方ないけれど、それが現実だと思う。
もちろん実際のところはわからない。年齢なんて考慮されていないかもしれない。だとしても、ボクはそのことを考えざるを得ない。他の人に比べて、スタートが遅れているのは事実だから。これは明らかな逆風だろう。
だけど一晩考えていたけれど、答えは変わらない。タイムマシンで過去に戻ることはできないのだから。
そこで、今ボクが真剣に思っていること。
それは、この逆風を利用するしかないやん〜! ということ。とりあえず最終選考に残るレベルだと認めてもらえた。だけど他の若い人たちと同じ路線で、同じ目線で、かつ同じテーマを扱っていたら勝負にならない。それだったらいつまでも逆風のまま。
この逆風を追い風に変えるためには、今のボクの年齢を必要不可欠なものにする必要がある。つまりこの年齢でしか書けないものを物語にすること。
それは古臭い、という意味じゃない。 30代や40代の人にはとても書けない、『新しい』作品を生み出す必要がある。なるほど、この年齢だからこそ書けたんだ、と出版社の人たちに納得させなくてはいけない。そうなれば逆風だった遅いスタートが、かえって武器になる。
ということで今の新作をここ1週間ほどで仕上げたあと、次の作品はその作戦に沿って構想を練る。まだ答えは見えていないけれど、以前から書こうと思っていたテーマがある。そのテーマに年齢ゆえの付加価値をプラスして、次の勝負をかけようと思っている。
これまでは年齢に負い目を感じながら、若い世代に近づこうと思っていた。でも今回の落選で、ある意味目が覚めた。同じことをしていたら、どうしても年齢が引っかかってくる。もうそんなことで悩みたくない。
なので今はやる気に満ちている。もう昨日のことは忘れた。頭のなかは今の作品をより完璧に仕上げることと、次の作品の構想でいっぱいになっている。だけど『今』のボクの気持ちを忘れないよう、あえてブログに書き残しておいた。
さて、前を向こう!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。