作り阿呆の面白さ
変な話なんだけれど、身体の半分に異常が集中することってある?
ボクはどうも左側に異常が出やすい。左利きであることと関係しているのか、はたまた右脳に異常があるのかどうかはわからない。だけどとにかく身体の左側で不調を感じることが多い。
実は今その不調に悩まされている。ここ2ヶ月ほど首と肩が痛い。もちろん左側。五十肩かと思ったけれど、それなら腕が上がらないらしい。そこまでひどくないけれど、とにかく筋肉痛のような痛みが続いている。
さらに今朝になって腰を痛めたんだけれど、どちらかと言えば左サイドが痛い。おまけに歯が痛くなってきた。もちろん左の上の奥歯。さらに午後から頭痛がしてきて、左側で不快な痛みが続いている。あっ、そう言えば一昨日は左足の付け根が痛かった。
難儀なのは、医者に行ったり薬を飲むほとの痛みじゃないこと。普通に仕事をすることもできる。だけど断続的に不快感が継続しているので、モヤモヤするんだよね。
まぁ、こんなときは阿呆になるのに限る。あまり細かいことを気にせず、呆けているのが一番かも。阿呆をよそおって気楽に過ごしつつ、ここというところでしっかり仕事ができればそれでいい。今日はそんな雰囲気で午後から仕事をこなした。
阿呆で思い出したけれど、歌舞伎の演目で『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』というものがある。これは平清盛の目を盗んで源氏の再興を志す物語だけれど、主人公の大蔵卿は『作り阿呆(あほう)』という役柄。
見た目には才能のない阿呆を装うことで、平家の目をごまかすという人物。実はとんでもない切れ者で、牛若丸を助けようとする。
少しタイプはちがうけれど、この『作り阿呆』を題材にした映画がある。
『どら平太』という2000年に公開された日本映画。監督は市川崑さん。
このブログで何度か取り上げているけれど、ボクはこの映画が大好き。おそらく10回近くは見ているはず。昨日も久しぶりに通して観た。
役所広司さん演じる望月小平太は、『どら平太』と呼ばれている『阿呆』。女にだらしなく、酒と博打に溺れているという評判がある。そんな小平太は江戸詰だったけれど、藩にはびこる悪弊を取り除くために町奉行として赴任する。
もちろんそうした『阿呆』は小平太の作戦という設定。本当は切れ者の武士であり、かなり腕も立つ。藩主もそれを見込んで、彼を江戸から藩へ戻している。そしてその期待に応えて、大活躍するという物語。
この『作り阿呆』というのは、先ほどの歌舞伎でもそうだけれど、日本人がとても好む設定なんだと思う。映画や芝居を見ている観客は、最初から素晴らしい人物であることを知っている。だからこそ『阿呆』になっている姿が面白いし、騙されている登場人物たちを見てスカッとする。
この設定は現代でも使えるよね。『作り阿呆』を盛り込んだ物語を書きたくなった。今の新作が今月の中旬には完成するだろうから、次の作品に入れてみようかな。こうしてブログを書いているうちに、マジでその気になってきた。ただし、同じパターンでは面白くないからね。しばらく悩んでみよう。
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