SOLA TODAY Vol.437
無理な我慢というのは、絶対にやめたほうがいい。特に食生活についてそう感じる。気になるのがヴィーガンや不食を宣言している人の行動。
自分が本当に肉を食べたくない、という人はそれでいい。あるいは食事そのものを否定する人は、自己責任で自由にやればいい。だけど他人に勧めないでほしい。世の中には絶対的なものなんてない。その人にとってよくても、他人にとっては害になることもある。
ボクが気になるのは、観念だけが先走りしている人たち。本当は肉を食べたいのに、独りよがりな健康志向で肉食を我慢している人がいる。その象徴が料理方法。肉に見せかけたフェイク料理を自慢げに紹介している人を見ると、あぁ、この人は無理な我慢をしているんだなぁと思ってしまう。
心からヴィーガンでありたいなら、ごまかしは必要ないはず。そんな曖昧な状態で心と身体のバランスを乱していると、やがて摂食障害を起こしてしまうらしい。
健康的な食事にこだわり過ぎた結果、命さえ危険にさらしてしまう摂食障害を「オルトレキシア』という。自分は正しいことをやっているという思い込みが強くなり、客観的に自分の状況を知ることができない状態。この記事で紹介されているフランス人女性の例がわかりやすい。
『この1年半の間に、まずベジタリアンになり、次に卵や乳製品、蜂蜜なども食べないビーガンになり、さらに生の食材しか食べないローフード主義者になり、最後はフルーツしか食べないと決めた。心配していたボーイフレンドがごっそり抜けた彼女の髪の毛をバスルームで見つけ、それを目の前に突き出されて初めて自分が良くない方向に向かっていると悟った』
ゾッとするよね。彼女はこう言っている。「健康で正しい食べ方、長生きのできる食べ方だと思っていた。純粋な状態でいたかった。だけど最後は自分のそういう思いに対して、体の方がノーと言った」
健康でありたいと願うのは人間の本能。だけど自分の身体の声に耳を傾けずに何かを盲信すると、当然ながら命が危険にさらされることになる。この女性はまだ途中で気づいてよかったよね。
これは一種の強迫観念で、健康な食事への関心が病的な状態になっている。その結果社会からの孤立や精神的混乱、さらには肉体への害を招くという恐ろしい摂食障害らしい。
SNSが一般化したことで、さらにそうした状況に陥る人が増えていると思う。ヴィーガンを自称する人は、それを他人に勧めたいと思うだろう。だから肉を食べなくてもこれだけ元気だと、写真をつけてアピールする。もちろんその人にとっては、疑うことのない事実なのだろう。
だからと言って、自分にも適した方法だと早合点しないほうがいい。まずはお試し期間をじっくりと設けるべき。心が望んでいても、身体は否定するかもしれない。そのバランス感覚を見失うと、あと戻りできなくなってしまう。
なぜなら『善行』をやっていると心が信じているから。正しいことを行なっているんだから、少々の我慢はしなくてはいけない。そんな几帳面な発想が、やがてストイックなほどの負のスパイラルに変化してしまう。研究によると、この摂食障害は女性に多いらしい。
だからと言って我慢を放棄して飽食の限りを尽くしていても、やがて命を縮めるだろう。どちらにしても、心と身体のバランスを意識することだろうね。さて、今日も美味しいものを食べましょう〜！
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