人間と認定される条件とは?
最近は『なんとかの日』というのが多い。今日が『ポッキーの日』というのは、ボクも知っている。それ以外に『麺の日』だとか『チンアナゴの日』も今日らしい。おとなりの中国では『独身の日』とのこと。
数字の1が並ぶから、連想しやすいのだろう。まぁ、たいていはこじ付けで決めているから、関係する業界を盛り上げるのに利用されているだけ。そういえばクリスマスもこじ付けでスタートしたらしい。
昨日のブログで紹介した本に書いてあったけれど、ヨーロッパにキリスト教が広まる前は、各地域に独自の宗教があった。アニミズム的なものがほとんどだけれど、共通していたのは冬のお祭りだったらしい。
そこでキリスト教を広めるためには、その祭りを利用しない手はない。だからキリストの誕生日を祝う日を冬に持ってきた。感謝祭等も同様らしい。だからもしかしたら、キリストは別の日に生まれているかも。別の本でも、冬至を祝う習慣からクリスマスの日が決められたと書かれていた。
それでも宗教のパワーはすごいよね。今やクリスマスというイベントは、世界中を席巻している。残念ながら『チンアナゴの日』が、クリスマスのような一大イベントになることはないだろうね〜w
さて、今日はとても素敵な映画を観た。
『アンドリューNDR114』(原題: Bicentennial Man)という1999年のアメリカ映画。
写真のとおりロビン・ウィリアムズが主演しているが、前半はロボットの役なので声しかわからない。映画の後半になって、人間の肉体と同じような素材にアップデートしたとき、ようやく彼の素敵な笑顔を見ることができる。でもあくまでもロボットという設定。
近未来の話で、人間になろうとしたロボットの物語。アンドリューと名付けられた家庭用のロボットは、回路不良を起こして人間と同じ感情を持つようになる。そんなアンドリューを理解してくれる、マーティン家の一員となったアンドリューの200年という長い生活を描いたヒューマンドラマ。そして素敵な恋愛映画でもある。
何十年もかけて人間の感情と知識を学んでいくうち、アンドリューは自分と人間のちがいを考えるようになる。どうすれば自分は人間になれるのか? 人間と認定されるために必要なものは何か?
そんなアンドリューを動かしているのは、人間として夫婦になりたいと思った女性の存在。やがて見た目も、もちろん心も、さらにセックスでさえできるロボットになったアンドリューは、この世界の議会に自分を人間として認定して、恋人との結婚が承認されるように訴える。
だけど、それは拒絶されてしまう。なぜなら機械であることに変わりなく、人間と決定的にちがうものがあったから。
そこでアンドリューが決意したこととは? 気になる人はぜひこの映画を観て欲しい。わかっていたけれど、その清々しさに涙があふれてきた。とってもいい映画だったよ。
人間の条件とは? これは『ピノキオ』という物語でも問われたもの。そして古いSF映画では『ブレードランナー』という作品もそうだろう。人間と同じように死の恐怖に怯えるレプリカントの『心の苦闘』を描いた作品だった。
このテーマは、言い換えれば『存在』を問うている。自分とは何か? どこからやって来て、どこに行こうとしているのか? なんのために生まれてきたのか?
おそらく人類が抱えている究極的なテーマであり、その答えは自分で見つけるしかないというもの。だからこそ形を変えて、映画や小説を通じて問いかけられる。
ということで来週には公開中の『ブレードランナー2049』を観に行く。おそらくこの映画も、『存在』について観客に問う作品だろう。映画を観終わって、どのように感じるのか楽しみにしている。
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