SOLA TODAY Vol.440
日本の飲食業会で大きな問題となっているのが、予約客のドタキャン。客席が少なく、高級食材を扱う飲食店にとっては死活問題。なんとかドタキャンを少なくしようといろいろな試みがなされているが、ドタキャンがほとんど起きない国がる。
なんとそれは中国。その理由を知って、なるほどなぁ、とうなってしまった。
中国は日本に比べてキャッシュレス化が進んでいる。ほとんど現金を持たずに生活することができる。むしろ現金を持っているほうが変に思われるほど。
それゆえスマホ決済が当たり前になっているが、中国独特のシステムが一般化している。その代表が『アリペイ』というサービス。記事から抜粋する。
『アリペイの仕組みは至ってシンプルだ。まず消費者が商品を注文し、スマホからアリペイに代金を支払う。アリペイは販売者に注文の連絡をし、販売者は商品を発送する。消費者は受け取ると、商品に問題がないか確認してアリペイに連絡。そのまま購入する場合は、アリペイから販売者に代金が支払われ、不満なら返品するとともに、代金もアリペイから戻ってくる』
アメリカではペイパルが始めたサービスだし、日本でもネットオークション等で利用されている方法。中国ではキャッシュレスで買い物をするけれど、ほとんどがこのアリペイと同様のサービスを利用するらしい。
このシステムが中国で流行した背景は、『他人を信用できない』という国民性らしい。文化大革命で大勢の知識人が密告によって処刑されている。うっかり他人を信用すると、命に関わるかもしれない。そんな国民性ゆえ、店舗と直接やり取りするということができない。だからアリペイのような決済が中心になってくる。
だけどもスマホで決済すると、あらゆるトラブルが想定される。詐欺を働く人がいるかもしれない。そこで始まったのが個人の評価システム。アリペイは大量のビックデータを所有している。不適切な取引をする人や、反対に誠実な取引をする人のデータを日々集めている。
それを政府機関と協力することで、個人の評価がポイント化されるシステムが定着しつつあるらしい。すべてがスマホのアプリ決済で行われているので、商品の売買だけでなく、シェア自転車をきちんと返却しているか、税金を滞納していないか等の、個人の日常行動が浮き彫りにされている。
つまりポイントが高ければ高いほど、社会的信用が増すことになる。この記事にも書かれているけれど、ポイントが高いとホテルの保証金が不要になったり、婚活サイトでいい条件の相手を紹介してもらえたり、海外旅行のビザが早く取れたりする。
飲食店のドタキャンが少ない理由がよくわかる。自分のポイントを下げるような行動を取りたくないからね。ドタキャンどころか、中国では予約時に注文をして、先払いするのが普通らしい。だから飲食店は安心して食材を仕入れることができる。
面白いよね。ドタキャンの根底にあるのが、『他人を信用できない』という国民性なのがユニーク。だけどそのことを自覚しているのがいい。
日本人は暗黙の了解というのが好きだから、基本的に性善説に立っている。他人を信用することが美徳だとされる。だからなんの保証もない予約だって受けてしまうし、その結果ドタキャンで悩むことになる。
信用というものは実績を積み重ねていくものであるはず。根拠のない信用なんて、日本人も手離す時期なのかもしれないね。性善説はいいけれど、しっかりと担保された事実に基づいて信用するべきだと思う。とても面白い記事だった。
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