日本人には理解できない世界
ここのところ本2冊を立て続けに読んだけれど、ブログで紹介するようは内容ではなかった。どちらも理解できなくて、途中で投げ出してしまったから。
そのうち1冊はコンピュータのシステム開発者向けに書かれたもので、あまりにも難解すぎた。導入部分や概論的な内容は勉強になったけれど、各論になってくると手に負えない。あえなく降参。
もう1冊は物理学に関する本。海外でベストセラーになったと聞いたので、翻訳本を読んでみた。これは先ほどとはちがった意味で理解できなかった。相対性理論から量子力学、そして素粒子論や最新の宇宙論まで書かれた幅広い内容だった。
ところが予備知識がない人向けの講演会を文章にしたもので、理論的な核心に触れずにその世界観を伝えようとしている。例えばボクは素粒子論に関するかなり詳しい本を過去に読んでいる。だからニュートリノ等の概略を理解しているつもり。
でもこの本の文章を読んでも、使っている語句が平易すぎて余計にややこしい。予備知識がない人にとっては、結局は理解困難だと思わせるだけで終わってしまうように思った。もしボクがこの本で初めて素粒子論に触れたら、きっと大嫌いになっていただろうw
例え完璧に理解できなくても、『知りたい』と思わせることは大切だと思う。だから中途半端な文章で素人におもねるのではなく、ある程度は専門的な解説も必要だと思う。そうすることで好奇心を刺激しておけば、興味を持った人は自分で動くからね。
今日はボクがあまり深く理解していない世界について、大いに好奇心を刺激してもらえた映画を観た。
『栄光への脱出』(原題:Exodus)という1960年のアメリカ映画。
第二次世界大戦が終結して、ナチスドイツから逃げていたヨーロッパのユダヤ人たちはパレスチナを目指した。それは自分たちの国家を求めるため。ホロコーストで家族を失ったユダヤ人にとって、祖国を再興することは悲願だったから。
だけど当時のパレスチナはイギリス委任統治領であり、大量に押し寄せる難民を受け入れるわけには行かない。そこでイギリス政府はキプロスに難民収容所を作った。そんなイギリスの支配からパレスチナを解放しようとする人々の物語。
主演はポール・ニューマンで、彼はユダヤ人国家を実現させようとするシオニズム主義の穏健派。1947年に実際に起きた不法移民船のエクソダス号の事件をモデルにした物語で、原作はベストセラー小説となっている。
イスラエルという国家建設直前の、ユダヤ人の苦悩が描かれている。何百万人という大勢のユダヤ人を見殺しにしてしまった、ヨーロッパの人たちの贖罪意識を感じる映画だった。かなり長い映画だけれど、最後まで真剣に観てしまった。
同時に感じたのは、祖国が存在しないユダヤ人たちの世界観を、ボクたち日本人は理解できないということ。映画は始まってすぐは、知識がないので状況を理解するのに時間がかかってしまった。だけど好奇心が刺激される作品だった。
この時代のイスラエル建国について、詳しく書かれた本を探してみようと思っている。映画や小説というコンテンツは、自分の視野を広げてくれるのに役立つと思う。ボクにとっては、今まで知らない新しい世界を教えてもらえた映画だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。