のたうち回るほど面白い自伝
12月になって、待ちに待ったことがようやくスタートした。先月の10日に、テイラー・スウィフトがニューアルバムをリリースしている。そのうち数曲はストリーミングでも配信されていた。だけどアルバム全体はまだ「オアズケ」状態だった。
でも昨日のテイラーのInstagramを見ていると、12月1日からストリーミングの配信がスタートするとのこと。さっそく契約しているApple Musicで確認すると、配信開始となっていた。
アルバムタイトルは『reputation(レピュテーション)』というもの。まだ2回しか聴いていないけれど、めちゃめちゃいい雰囲気。このアルバムの2つ前の『Red』では彼女のスタートであるカントリーミュージックの雰囲気が残っていた。
だけどその次にリリースされて大ヒットした『1989』というアルバムでは、一気にイメージチェンジしてポップ歌手としての地位を築いたと言える。そして今回のニューアルバムでは、そのポップ感を残しつつも彼女のダークな部分が強調されている。大人の女性を感じさせてもらえる選曲だよなぁ。
ボクが好きなエド・シーランとのコラボ曲もある。しばらくはヘビロテでしっかり聴こうと思っている。首を長くして待っていたから、ようやく全曲聴けて気分は最高。おかげで仕事もはかどった。これでスッキリ。
もうひとつスッキリしたことがある。ここ数日、とんでもなく長い本を読んでいた。文字がぎっしり詰まっているのに、単行本サイズで700ページ近くもある。昨日ようやく読了することができてスッキリした。
『真相 マイク・タイソン自伝』マイク・タイソン著という本。先ほども書いたようにかなりの長編だれど、この自伝はめちゃめちゃ面白い。普通の人では体験できない世界を、手に取るように感じることができる。
ボク世代の男性なら、マイク・タイソンの名前を知らない人はいないだろう。ボクシングのヘビー級世界チャンピオンだった人物で、当時は最強のボクサーだと言われていた。ボクも何度か彼の見事なKOシーンを見たことがある。
だけど婦女暴行事件で収監され、さらに出所後はホリフィールドとのタイトル戦において耳に噛み付くという試合を行い、やがてボクシング界から消えてしまった。そんなマイク・タイソンの生い立ちから現在までの様子が、彼自身の言葉によってつづられている。
もちろん自伝だからといってすべて事実ではないかもしれない。自分の都合のいいように書かれている可能性はある。だけど婦女暴行が冤罪であると納得できる客観的な事実も公表されているし、不適切な裁判によって刑務所行きになった経緯も書かれている。
まぁ、他人にだまされるほど天文学的な金銭を稼いでいたし、彼自身も問題のある人間だったということ。そのことを自分で認めて率直に書いているので、読み物として非常に面白い。
子供のころから黒人のスラム街で生まれ育ち、友人には犯罪者しかいない。マイク自身も、窃盗や強盗で少年院に入っている。ところがその少年院でボクシングをやることになり、それをきっかけにして才能を開花させ、ある有名なトレーナーに目をつけられる。このあたりは、『あしたのジョー』とまったく同じだよね。
そこからあっという間に世界チャンピオンになると、彼の稼ぎ出す金を求めて男も女も集まってくる。そしてマイク自身も、その世界におぼれていくことになる。医師からセックス依存症だと断定されるような異常な女性関係をくり返し、さらに悪質なドラック中毒だった。その悲惨な状況がありのままに書かれている。
フィクションだとしても映画になると思うほどなのに、実話だからマジで驚く。ボクシングを辞めるまでのマイクの人生は、凡人には決して体験できない次元で展開していたと言える。あまりにはちゃめちゃすぎて、読みながら笑ってしまう。
でもそこから立ち直っていく後半に、かなり感動させられた。きっかけになったのは幼い娘の事故死。そのことでマイクは自分の人生を見つめ直す。さらに3度目の妻となるキキの献身的な努力の結果だろう。
現在の彼は俳優として映画に出演するとともに、ボクシングのプロモーターとして活躍している。そしてかなり苦労したけれど、麻薬中毒も克服して、アルコール依存症からも抜け出している。今や妻のキキを一途に愛する夫であり、子供を献身的に愛する父親として暮らしている。
とにかくこんな面白い自伝はないよ。かなりオススメの本。ボクはこの自伝を読んで、マイク・タイソンという人が好きになってしまった。少年のころから読書家で本当はクレバーな人なんだと思う。刑務所でとある人物に出会ったことで、イスラム教に改宗している。そんな素直で純真な部分があるんだろうなぁ。
めちゃ長い本だったけれど、とても刺激的で楽しい時間を過ごすことができた。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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