ストライゾーンが広くなったかも
冬らしい寒さだけど、朝から快晴の神戸。今日な日曜日なので、きっと行楽地はにぎわっているだろうね。
ボクはあいも変わらず、いつもと同じ生活。今月22日の冬至をひかえて、365日間仕事を休まないという公約の達成に向けて午前も午後も仕事に集中。だけどすっかり習慣になってしまったので、普段は公約のことが頭にない。
公約を意識するのは体調が悪いときや、気分が落ち込むことがあったとき。そんなときは、ブログで宣言したことがかなり役に立っている。最低でも1年は続けようと必死になるからね。
もともとボクは記録を伸ばすことに執着するタイプ。20歳になってタバコを止めたときも、記録を伸ばすことに意識を向けた。1週間頑張ったら1ヶ月まで伸ばそう。3ヶ月まで頑張ってみよう。だったら半年も行けるはず。どうせなら1年まで記録更新するぞ、という感じで禁煙が続いた。気がついた時には吸わないことが習慣になっていて、それ以来タバコをまったく手にしていない。
根気よく何かを続けることで、人間の習慣や感性は変化していくと実感している。それは映画を観るというようなことでも同じ。ボクはヨーロッパ映画が苦手で、基本的に避けていた。もっぱらハリウッド映画ばかり。
だけどそんな好き嫌いをとりあえず無視して、苦手なタイプの映画を観続けていると、今まで意識しなかった感性が目覚めるように思う。まさに今日はそんなことを実感する映画を観た。
『ヘッドライト』という1956年のフランス映画。ヨーロッパ映画、恋愛映画、そして悲劇映画という、ボクが苦手だった3拍子がそろい踏み。数年前だったら絶対に観ない作品だと思う。ところが今日の午後からは、この映画をテレビにかぶりついて真剣に観てしまった。そして感動したんだよねぇ。
主演はジャン・ギャバンで、ボクのようにヨーロッパ映画が苦手な人間でも、名前は知っているほど有名なフランス人俳優。
共演しているのはフランソーワーズ・アルヌールという女優さんで、見てのとおりかなりの美人。調べてみたら女優活動はされていないけれど、86歳という長寿でご存命とのこと。美人薄命なんて、単なることわざらしい。
主人公はジャン・ギャバンと同じ名のジャンというトラック運転手。国道沿いの宿屋でクロというウェイトレスと出会い、恋に落ちてしまう。といってもジャンには妻も子もあるし、二人の年齢も親子のように離れている。
のっけからどうしようもない展開なんだけれど、想像どおりに待っているのは悲劇。ジャンは会社をクビになるし、家庭は崩壊するしでどん底の人生。クロもウェイトレスを辞めたものの、複雑な家庭なので居場所がない。最終的に落ち着いたのは強欲な女将が経営する連れ込み旅館の掃除婦としての仕事。
なんとか二人で新しい生活を始めようとするけれど、クロが悲劇の死を遂げてしまうというエンディング。とにかく救いようのない映画で、以前のボクなら途中で投げ出していたと思う。だけど小説の勉強という観点で接すると、学ぶところが山ほどあるんだよね。
原作とはかなりちがうようだけれど、映画としての完成度は高いと思う。観ていて愉快な気分になる映画じゃないけれど、少しはこうした作品の良さがわかるようになったのかも。そういう意味では、ボクの映画に対するストライクゾーンが広くなったのかもしれないなぁ。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。