SOLA TODAY Vol.468
新しいレストランを探すとき。あるいは旅行先で美味しいものを食べたいとき。おそらくほとんどの人が、ネットで口コミを検索すると答えるだろう。
だけど口コミやレビューというものが、真実を反映しているとは限らない。意図的に操作されている場合もある。だからここ近年強化されているのが、ヤラセのレビューを排除するというもの。
プログラムを変更するだけでなく、人手を使ってもより適切な評価が表示されるよう、サイトの運営者は努力を重ねている。そうでないと信用を失うことになるから。ところがまだまだ甘い。そのことを実証しようとした人が、イギリスにいた。
ロンドンの実在しないレストラン、口コミ旅行サイトで格付けトップに
この記事のタイトルを見て、思わずニヤッとした。こんなことがあり得るだろうと思っていたから。イギリスの格付けサイトで「最も行きたい」レストランに格付けされた店舗が偽物だった。どんな店舗なのか、記事から抜粋してみる。
『ロンドン南部の裏庭レストラン「ダリッジの小屋(The Shed at Dulwich)」は、招待された客に「情欲・ウサギの腎臓のトーストのせ」、「共感・ビーガン向けアサリのスープ」、「熟考・分解されたアバディーンビーフシチュー」など、気分や感情を表す単語から考え出されたメニューを写真付きで紹介した。しかし実際には、漂白剤の錠剤、シェービングクリーム、光沢仕上げ塗料、さらには人の足に載せた目玉焼きなどを撮影して作った写真だったという』
このいたずらを思いついたのはフリーライターのバトラーさんで、彼はこう言っている。
「ある日小屋の中で急に思いついたんだ。偽情報があふれる中、偽レストランもあっていいだろう、と」。
スタートしたときは格付けが1万8149位だった。でも複数のコンピュータをつかって監視の目をくぐり抜けた偽のレビューのおかげで急上昇。わずか6ヶ月で1位を獲得してしまった。取材等が殺到したので、バトラーさんは真実を公表したらしい。
詐欺行為にあたるかもしれないので、決してほめられたことじゃない。だけどネットの情報がどれほどいい加減なものであるかを、世界中に知らしめた効果は絶大だと思う。
昨日、大手出版社の編集者が対談している記事を読んだ。そこで書かれていたのは、今やまずはネットありきということ。ネットでバズらせることができたら、テレビやラジオ等の出演依頼が増える。そしてその影響で本やCDが爆発的に売れる。
もちろんこのレストランのように、最初から偽物だったら意味がない。「売れる」だけのコンテンツでないと無理だろう。でもどれだけ素晴らしい作品でも、今はネットでスタートダッシュをかけられなければ、売上が見込めない時代になってしまったということ。
この記事を読めば、それが事実だとわかるよね。そういう意味では創作者側も、どうすれば売れるかを真剣に考えなければいけない時代になったということだろう。まぁでも、まずは「売れる」コンテンツを創作することが先決。せっかくバズっても、価値のないものは消えていくだけだからね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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