人前で読んではいけない本
昨日の雨とちがって、今日は朝からいい天気。そして何より暖かいのがいい。また来週には強烈な寒波がやって来るらしいけれど、とりあえずひと息つけるよね。
今年の冬は寒さが厳しい。それに連動するようにインフルエンザが流行っている。著名人のブログやTwitterを見ていると、インフルエンザに感染したという記事をよく見かける。
ボクは基本的に他人と接触することが少ない生活をしているので、比較的安全な状況で過ごしている。それでも外出したときはマメに手洗いをして、喉や鼻を乾燥した冷たい空気から守るように注意している。
でも通勤や通学で、電車やバスに乗る人はそうも言っていられないよね。ウィルスに接触するリスクが高くなるのは仕方ない。マスク等を使って、なんとか自衛するしかない。そんな人たちに、もうひとつ注意点を述べておこう。
電車やバスのなかで、読んではいけない本がある。
『猫たちの色メガネ』浅生鴨 著という小説。
なぜ人前で読んではいけないのか?
それは面白すぎて爆笑してしまうから〜〜! この本を読んで笑いをこらえるのは絶対に無理。だから確実に変なやつだと思われてしまう。
ボクは就寝前に読書をするので、周囲は静かな環境。だからクスクス笑っている程度ならいいけれど、そのうち引きつるような笑い声になってしまう。だからきっと妻は、ボクのことを変なやつだと思っていたかもw
浅生さんは以前にNHKで仕事をされていた方で、現在は作家や映像ディレクター等としてマルチな活躍をされている。Twitter界ではかなりの有名人。ボクが大好きな『チョイ住み』という番組の制作にも関わっておられる。
最初に浅生さんの小説で読んだのは『アグニオン』という素晴らしいSF小説。いまだに心に強く残っているほどすごい長編小説だった。
ところが打って変わって、この本は27の短編を集めた作品。そしてすべての作品に猫が登場する。浅生さんは猫を4匹も飼っておられるという猫好きなので、猫に対する愛情に満ちた作品だった。
だけど猫は物語にあまり影響しない。どちらかといえば、観察者のような役割。ここに書かれた27の物語には、様々な変人が登場する。それが可笑し過ぎてもうたまらない。
まだ去年の秋に出たばかりの小説なので、ネタバレはしないほうがいいと思う。でも笑いたいと思っている人には、絶対的にオススメの作品。思い出しただけでも、爆笑しそうになるからね。
ちょっとだけならいいかな。
例えば自分がアンドロイドだと思い込んでいる中間管理職。
怒ることをしない男が、ある日溜まっていた怒りを爆発させる。すると……。
何を見ても笑ってしまう男が、スカウトされた職場とは?
ある日自分の背中にチャックが付いていることを発見した男。そのチャックを開けてみると……。
あかん、この4つを書いているだけで笑えてきた。とにかく目の付け所が鋭い。そしてその掘り込み方が深い。なのに笑ってしまうという不思議な物語ばかり。
だけど、ただ笑うだけじゃない。笑いというものに昇華されているけれど、実は今の社会の現状が浮き彫りにされていると思う。そんな部分がいくつも見え隠れしている。
本当は深刻な内容かもしれない。でも眉根を寄せて悩むより、笑って考える方がええやん、と感じさせてもらえる。帯に書かれた糸井重里さんの推薦文が、この本のすべてを物語っている。
『読み出したら、取り返しがつかない』
まさにそのとおり。マジで笑いの連鎖に取り込まれて、取り返しがつかなくなってしまうよ〜!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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