SOLA TODAY Vol.523
マンションに住んでいるとよく感じることがある。一定数の人間が集まると、人間性のパターンが同じような割合で表象化する。リーダー的な存在や、コミュニティを作ろうとする人や、マナーの悪い人等。不思議だけれどマンションの規模はちがっても、同じような割合でパターン化する。学校でもそうだったよね。
だからこそ、統計学というものが成り立つのだろう。アンケートを取る対象を無差別に抽出すれば、何千万人という人間のすべてに質問する必要なく、おおよその民意を知ることができる。
そのことを思うと、マジで驚く記事があった。
アメリカの大手広告会社が、世界の28ヶ国で行ったアンケートがある。「自分の国の政府を信用しているか」というもの。その結果、トップに立ったのは中国で、84%の人が信用すると答えている。この結果には、中国人でさえ驚いたらしいwww
先日ボクは、『マオ 誰も知らなかった毛沢東』という伝記を読んだ。19世紀後半から20世紀前半にかけて、中国の暗黒時代の真実に迫ったもの。そして今も、同じ著者の本を読んでいる。
21世紀になったとはいえ、その時代の狂気を知っているボクには信じがたいことだった。政府を信用しないと発言することを、国民は恐れているのではないか、とまでかんぐってしまった。
ところが他の国の結果を見ると、ちょっと考えが変わった。
2位はアラブ首長国連邦77%、3位インドネシア73%、4位インド70%、5位シンガポール65%という結果になっている。60%を超えているのは、この5ヶ国だけらしい。
これらの国に共通しているのは、経済発展が著しいということ。つまり好景気の国に住んでいる人は、政府を信用していると答えるのかもしれない。
ちなみにアメリカは33%で、日本は37%という結果。メディアに対する信用も、ほぼ同じような数字が出ている。もし日本の高度経済成長時代に同じアンケートを取ったら、日本も70%を超えていたかもしれない。
経済大国であることは、国際社会において発言力を増す。軍備を拡張している国は、さらにその勢いを後押しするだろう。その観点から見れば、どちらも備えている中国がトップであることは、当然なのかもしれない。
中国という国家は、いまだに共産党の一党支配であり、独裁政権と言っても過言ではない。国家の代表は国民の選挙で選ばれるのではなく、共産党幹部たちが密室で協議して決める。そんな体制であるのに、国民は政府を信用していると答える。
この記事にラストで、このことに関するコメントが記されている。ちょっとドキリとした。
『経済力、軍事力が上向きの国はどんな独裁政権であっても国民は政府を信用し、メディアが真実を伝えていると思い、停滞する国では政府が悪い、メディアが信用できないと考える。政治家が国民の信頼を得たければ経済でいい結果を出す、それができなければ軍事で、つまり戦争だ』
このコメントを、真っ向から否定できない。トランプ大統領は、核戦略の見直しを表明した。それは核軍縮の流れに逆らうことになる。政府に対する信用度を上げるため、思い切った行動に出ないことを祈るしかない。
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