生まれてくる動機
とんでもない寒波だよね。福井県では37年ぶりの豪雪だとか。国道8号線で1000台以上の車が立ち往生していて、自衛隊に救援要請が出されている。
実は37年前の北陸の豪雪を体験している。ボクが19歳のときで、金沢近郊の大学の寮で暮らしていたから。京都市内で生まれ育ったボクにとっては稀有な体験だったけれど、同世代の地元の友人に聞いても同じくらい驚いたらしい。それ以前の豪雪は昭和が38年の『サンパチ豪雪』だから、北陸の人にとってもすごい豪雪だったということ。
寮の屋根は雪の重みでミシミシ鳴っているし、朝になって学校へ行こうと思っても、道路に出るまでにひと苦労。まず玄関の引き戸が雪で半分くらい埋まっているからね.。寮の連中が集まり必死で雪かきして、玄関から道路までの道を作った。今となっては、貴重な経験だったなぁ。
さて寒いと言えば、ここ数日の株価と仮想通貨の暴落。腐った肉を食べて、同時に大量の下剤を飲んだお腹のような状態で、ひたすら「クダル」ばかり。ここのところどちらも高値をつけていたから、そのあたりでつかんでいる人は、真っ青になっているだろう。
まぁ、相場というのはそういうもの。投資なんて長期で維持してこそ実績が出る。安値で買って高値で売ることばかり考えていると、ドツボにハマってしまう。明日は列車の人身事故が増えるのでは、とTwitterで呟いていた人がいた。そのブラックジョークが笑えないほどの落ち方だからね。
そんなとき心に浮かぶのは後悔。もし◯◯ならば、という言葉がつい出てくる。それは相場に限らず、他の出来事でも同じ。人間というのは物理的時間にとらわれているので、後悔するのは避けられない生き物なのかもしれない。
だけど、もし◯◯ならば、という発想はとても大切なものだと思っている。今の自分とちがう状況を想像することで、他人への理解を深めていくことができる。失敗して後悔することで、同じ経験をしている人のことを理解できたり、成功した人の要因をイメージできたりする。それは、もし◯◯ならば、というシステムが働くからだと思う。
自分が男だったら、もし女ならば、と思うだろう。病気がちだったら、もし健康ならば、と考えるはず。
もし猫だったら、と思う人もあるかもねwww もしアメリカ人だったら、もし北朝鮮に生まれていたらと想像する人もいるはず。
もし◯◯だったら、というシステムは、今の自分にないものを思うこと。おそらくそれは、人間の本質にしみついている感覚だろう。
そこで思ったことがある。もし生まれ変わりがあるとしたら、次に生まれてくる動機を支えているのは、もし◯◯だったら、というものではないだろうか?
こんな経験をしたから、次は別の人生を味わいたい。そう思って必死で考えた結果が、今のボクの人生だと思う。そしてそれはすべての人に共通しているはず。
人生というものは、どうしても体験したくて自分が選んだものだということ。だったら現実世界で生きているあいだは、もし◯◯だったらなんて考えは捨てたほうがいい。だってまさに『今』、もし◯◯だったら、という人生を過ごしているんだから。
次にどんな◯◯をイメージするかは、死んでから考えたらいい。今からそんなことで思い悩んでいる暇があるんだったら、現実の人生に正面から向き合うべき。そうしないと、せっかくの機会を無駄にしてしまうだけだからね。
辛いことや悲しいことがあると、ボクはそう思って生きている。
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