違和感が先行して辛い
これだけ寒波が続くと、知らないあいだに身体が冷え切っている。今の仕事が大詰めなので、集中してくると寒さを忘れていることがある。そんなときに何気なく自分のほおを触って、手の冷たさに飛びあがったりしている。
とりあえず週末にはひと息つけそうなので、次の寒波に備えて気持ちを整えるしかないね。まぁ、身体が温まると眠くなるので、仕事をするにはちょうどいい気候かもしれない。
さてかなり面白い映画を観たんだけれど、違和感が先行するので、どこか消化不良になってしまった。
『鷲は舞いおりた』という1976年のイギリス映画。同名のベストセラー小説を映画化した作品。
主人公がこの写真のマイケル・ケインなので、是非とも見ようと思った。ボクのイメージではもっと歳をとった姿だけれど、大好きな俳優さんだから。そして脇を固める俳優さんとして、『ゴッド・ファーザー』で名演技を見せたロバート・デュヴァルが熱演している。最近では『アウトロー』という作品でトム・クルーズと共演しているけれど、この作品ではまだ若さを感じた。
そしてドナルド・サザーランドという、これまたボクの大好きな俳優さんも出演している。だから映画の内容に不満はないし、この3人の演技を観ているだけで幸せな作品だった。
映画の舞台は1943年のヨーロッパ。第二次世界大戦でドイツの敗戦が濃厚になっていたころ。そこで一発大逆転を狙って、イギリスのチャーチル首相の誘拐が計画される。半分はヒトラーの冗談から出た計画だったけれど、たまたまイギリスのスタドリー村という田舎で、極秘に静養することがわかった。そこを狙おうというもの。
ロバートはその計画を決めた上官で、マイケルはその作戦を現場で指揮する。そしてドナルドはイギリスに恨みを持っているアイルランド人の工作員の役で、この計画を背後で支える。そう、この映画の主人公はドイツ軍なんだよね。
よくできたストーリーだった。ドイツ軍としてはこの作戦に反対する。なぜなら敗戦濃厚なのに、イギリスのチャーチルを誘拐したり、万が一にでも死なせてしまえば、講和できなくなってしまう。だから一部の将校たちだけで、極秘に実行された。
結果として作戦は失敗する。極秘部隊は全滅して、マイケル演じるシュタイナー中佐は単独で乗り込んでチャーチルを暗殺する。だけど静養自体がドイツ軍を騙すもので、殺されたチャーチルは影武者だったというオチ。とても面白かった。
だけど違和感が残っていて、どうしても心から楽しめない。その理由は、映画好きな人ならわかると思う。
だって主人公たちがはドイツ人なのに、全員が『英語』を話している。これはハリウッドやイギリス映画にありがちなんだけれど、日本人のボクとしては興ざめしてしまう。英語という言語を、まるで世界共通語のように扱っている。この適当なやり方が、どうも嫌なんだよね。
観客を集めることのできる有名俳優を使いたいのはわかる。だけど芸術の観点から見た映画として、どうなんだろう?
最近の映画では、このあたりの違和感を覚えることが減ってきた。でもこの時代の英米作品は、これが普通だったんだろうね。この映画をドイツの人が観たらどう思うのかな。戦争映画では悪役の多いドイツ軍が、せっかくのメインなのにねぇ。
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