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高羽そらさんインタビュー

SOLA TODAY Vol.538

マンションの老朽化は、建物だけじゃない。我が家の近所にUR賃貸の大きなマンションがある。神戸の震災以前に建った物件だと思う。

 

たまに住人の方を見かけると、たいていが年配の人。若い家族をほとんど見ない。おそらく竣工当時は若い家族が入居したんだろうけれど、子供たちが成人して独立すると、必然的に残された住人は高齢化するのだろう。

 

ボクが暮らすマンションも最初は震災前に立っている。だけど被害を受けて10年前に建て替えられているので、若い家族が多い。それでも以前のマンションから暮らしている地権者の家族は、やはり高齢者世帯が中心だ。

 

これがまだマンション単位ならあまり気にならないけれど、街が丸ごと高齢化したらどうだろう? 様々な問題点が出て来そうな気がする。そして実際に、日本全国でそんなことが起きている。

 

老いるニュータウン:目立つ単身者の孤立化

 

それはニュータウンと呼ばれている街。高度経済成長時代に、大勢の若者が都心に移住して来た。その受け皿を作るために、政府はニュータウン構想を打ち出して、全国的に展開した。それは1963年で、ボクが生まれたころ。このニュータウンで、先ほどの現象が起きている。

 

いわゆる団地だから、一戸建ての住宅街に比べて近所との交流が少ない。家族単位での暮らしが中心になっていた。まだ家族が若いうちはそれでもいいけれど、子供たちが独立して家を離れると、年老いた夫婦が残される。

 

やがて連れ合いを亡くすと、周囲と交流を持たずに単身で暮らすことになる。そんな孤独な高齢者が増えているらしい。いわゆる「引きこもり」のような状態になってしまう。エレベーターがついていないような物件なら、階段の上り下りがおっくうになって、ますます自宅から出なくなる。そんなニュータウンが全国的に増えている。

 

全国の46ヶ所のニュータウンを調査すると、65歳以上の人口比率の全国平均である26.6%を、31ヶ所のニュータウンが上回った。さらに高齢単身者の比率を見ると、全国平均11.1%に対して、仙台市の鶴ヶ谷住宅団地の37.6%を筆頭にして、7ヶ所で20%を超えているらしい。

 

そういえば、ボクもそんなニュータウンを知っている。京都の西京区にある洛西ニュータウンというところ。ボクがまだ20代で税理士事務所に勤めていたころは、若い世代が多くまだ活気があった。いくつか担当している顧問先があったので、その雰囲気を実感している。

 

だけど10年ほど前に京都を出るころ、洛西ニュータウンのオーラにかげりを感じていた。小さな山を超えた東側に住んでいたので、よく妻と洛西ニュータウンまで散歩したことがある。ニュータウンの中心にショッピングモールがあって、高島屋が入っていたから。

 

歩道を歩いていると、どことなく寂しさを感じる。若い人が少ないせいか、道路には雑草が目立つ。街の活気は完全に失われていて、未来を感じなかった。

 

ニュータウンが建設されたころは、地下鉄が通るという構想があった。だけど結局は見送りになり、若い世代が京都市内や大阪に出勤するには、かなり不便な場所になっている。それゆえ、街を出る人が増える一方だったのだと思う。

 

10年前でそんな状況だから、今ごろはもっと高齢化が加速していると想像している。最寄りの阪急電車桂駅まで、バスがないと通勤通学できないという不便さは、どうしようもないだろうね。どれだか若い家族を誘致しようと思っても、無理があると思う。

 

高齢化社会というのは、こうした過去の遺産と向き合うことも考えなくてはいけないんだね。ニュータウンはどうなって行くんだろう? この『ニュー』という言葉の響きが、かえって寂しさを増すような気がしてならない。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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