人間の器は隠せない
今日は歩いていると、まさに春だと感じた。風はおだやかで、日差しも気持ちいい。おまけにPM2.5で空がもやっているので、さらに春を強く感じたwww
散歩中に見つけた枝垂れ梅。近くを歩くだけで、芳しい香りに足が思わず止まる。明日の日曜日は、京都の北野天満宮では縁日がある。ここの梅園は本当に素晴らしい。きっと明日は、大勢の人が梅の木を愛でるのだろうと思う。
だけどそんな観光客を迎える神社の人たちは、準備に大わらわだと思う。裏方の仕事というのは、目に見えないけれど苦労が多い。ボクも京都祇園の芸舞妓事務所で働いているときは、そうした裏方を経験させてもらうことができた。
裏方の苦労は、その立場にならないとわからないことばかり。それは万国共通で、そんな裏方の苦労と苦悩を描いた映画を見た。
『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』という2012年のアメリカ映画。
先日、2001年に民主党のゴアさんと、共和党のブッシュさんが争った大統領選挙に関する映画を観た。僅差の得票を争って、再集計されて大騒ぎになった事実の映画。
この映画も実話を描いたもので、2008年にオバマさんが初めて黒人の大統領となったときの選挙を描いたもの。そのオバマさんの相手は、共和党のジョン・マケインさん。ボクの大好きな俳優さんである、エド・ハリスがマケインを演じている。
だけどこの映画の主人公は写真の女性。共和党の副大統領候補になったサラ・ペイトンが主人公で、ジュリアン・ムーアが演じている。そして選挙参謀のスティーブは、ウディ・ハレルソンが演じている。ウディといえば、ちょうど『グランド・イリュージョン』という映画で、催眠術師を演じた彼を観たばかり。
このサラ・ペイトンが、マケインの勝利をぶち壊したと言っていい。ボクも当時は噂になったのは知っている。カリスマ性のあるアラスカの知事だったけれど、よく政治家になれたと思えるほと無知。ただ勢いだけで、知事になったようなもの。
オバマの躍進に焦ったマケイン陣営は、強烈な副大統領候補を探していた。そこで目をつけたのがペイトンだったけれど、なにせ時間がない。十分な調査ができないまま見切り発車してしまった。
ところがそのペイトンは、とんでもない女性だった。
自分が注目されることしか考えない。知識の無さを指摘されると、ノイローゼになって閉じこもってしまう。記者のインタビューや、副大統領同士の討論会のシーンなどは、見ているこちらの胃が痛くなるほどマケイン陣営の苦労が伝わってきた。
とにかくジュリアン・ムーアの演技が最高。この映画でゴールデングローブ賞やエミー賞を総なめしたのがわかる。実在の人物だけに、ペイトンの特徴を出すのに苦労しただろうと思う。わがままで自分勝手、だけどカリスマ性があり家族思いの無知な女性を、完璧に演じたと思う。彼女のこの演技は、一見の価値があると思う。
実際のペイトンの写真と比べてみたけれど、どちらが本物かわからなかったほど。もちろんエド・ハリス演じるマケインも、本物とそっくりだった。大統領選挙の裏側がよくわかって、とても楽しめる映画だった。
人間の器は隠せない。そんなことを感じた作品だった。少し調べみると、トランプ氏が大統領選に出馬したとき、ペイトンはすぐに支持表明をしたらしい。今でも彼女は健在だということ。たくましい女性だなぁ。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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