SOLA TODAY Vol.561
あなたのもっとも古い記憶は何歳?
ボクは保育園に通っていたころなので、3〜4歳くらいだと思う。その記憶が事実はどうかはわからないけれどね。もしかしたら小学生くらいのころに思い込んだものを、記憶として上書きしているかもしれないから。
どちらにしても幼いころの記憶を失くすのは、生物学的な理由があるらしい。
人間の記憶は平均して、3歳半くらいがもっとも古いものらしい。ボクはその基準に当てはまる。この年齢以前の記憶がある人は、ほとんどいないそう。これは「幼児期健忘」というらしく、名付けたのはあの有名なフロイト。
ただしその理由がわからない。フロイトの唱えた説は、現在では役に立たない。その後も多くの科学者がこの謎に挑み、少しずつ解明されてきた。
それによると、およそ6歳ころから3歳以下の記憶が消え始めるらしい。5歳半の子供は3歳の記憶を80%覚えていたけれど、7歳半の子供は40%に満たなかった。
7歳前後のころ、つまりちょうど小学生になる時期から大幅に過去の記憶が消えていく。これは成人して過去を忘れていく量に比べたら、とんでもない高い数値になっている。いったい、この時期の脳に何が起きているのか?
最新の研究によると、記憶は消えているわけじゃないらしい。脳細胞というのは古いものが新しいものに取って代わるというより、古い細胞の上に新しい細胞が重なっていく。そうして脳は成長していくとのこと。
ところが7歳ころに大きな変化が起きる。記事から抜粋してみよう。
「新しい脳細胞が加わり記憶を読み出すスキームが新しいものに置き換えられてしまうことで、古いスキームでのみアクセスできる子どもの頃の記憶を読み出せなくなったと考えられます」
なるほど! これはわかりやすい。パソコンで考えるとよく理解できるよね。
パソコンのOSをアップグレードしたことによって、過去のファイルにアクセスできなくなったのと同じことだろう。だから記憶は消えてしまったのではなく、ファイルを開けなくなっただけ。
パソコンが人間を真似て作られた、というのがよくわかる。記憶が消去されたわけでなく、読めないファイルとして残っているということは……。
互換性のあるOSにアップグレードできれば、1歳や2歳のころの記憶を呼び戻せるということだよね! もし人間の脳が進化して遺伝子変異が起きたら、すべの記憶がよみがえるかもしれない。それが幸せかどうかは別にしてだけれどねw
ボクは7歳と3ヶ月のとき、母親が家出した。それ以来会っていないし、写真もすべて捨てられた。だから母親の顔をまったく覚えていない。ちょうどボクの脳がアップグレードする時期だから、綺麗さっぱりと過去ファイルに封印されているのだろう。
でも互換性のあるOSにアップグレードできたら、2歳くらいの若い母の姿を思い出せるということだよね。科学が進化すれば、不可能ではないかもしれない。もしそうなれば、ちょっとドキドキするけれど体験してみたいなぁ。
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