SOLA TODAY Vol.562
出版不況が叫ばれて久しい。これまで出版業界を支えてきた雑誌が売れなくなり、漫画でさえ売上を落としている。
ただでさえ少ないパイを取り合っている状況なのに、アメリカからAmazonが進出してきた。電子書籍の台頭にともなって、紙の本もネット販売が主流になりつつある。
必然的に日本の本屋さんが閉店に追い込まれている。これまで取次を中心とした、再販制度に守られてきた書店。そんな旧態依然したシステムを、Amazonによって根底から破壊されている。
だったらもう書店という商売は成立しないのだろうか?
そんな疑問を真っ向から否定している企業がある。それはなんと、Amazonだった!
アマゾンブックス、日本の書店が絶対に真似できない3つの陳列とは?
Amazonは、アメリカでリアル店舗を展開している。その名は「アマゾン・ブックス」という書店。無人スーパー経営に乗り出したAmazonだけれど、従来型の書店に進出している。今月の13日にオープンしたワシントンDC店が15店目になるとのこと。
扱う書籍は5600タイトルにも及び、「アレグロ・カフェ」というスターバックスの原点となったカフェも併設されている。これだけ聞いていると、最近の新しい書店と同じだと感じる。
ところが本の陳列方法として、他の書店が真似をできないことをやっている。その特徴は3つもある。
1つ目は、「この本がお好きなら…(If you like)」というやつ。Amazonを利用している人なら知っていると思う。自分が過去に買った本の関連本を、「この商品を買った人は、こんな商品を買っています」と勧めるもの。これをリアル書店に利用して、本を陳列している。
2つ目は、「読みだしたら止まらないページターナー(Page Turners)」という陳列コーナー。電子書籍のKindleからデータを取り、買われて3日以内に読了された本を並べている。それほど面白い本だということ。
3つ目は、「電子書籍キンドルで最もハイライトされた本(Highly Quotable)」というもの。ハイライトとは、Kindleで使う蛍光ペンで引いたマーカーのようなもの。このハイライトが多いほど、重要なことが書かれていると判断できる。
これはマジですごいわ。いわゆるネットにおける「ビックデータ」というものを、フルに活用している陳列方法。これならリアル書店でも、相当の売上を予測できるだろう。
アメリカには再販制度がないので、本の値段は書店の裁量に任されている。「アマゾン・ブックス」の場合は、ネットで値段が連動している。だから書店には本の値段が表示されていない。店内に置かれたスキャナーでバーコードを読み取って、そのときの値段を知るという仕組みになっている。
もし日本で展開されたら、既存の書店は息の根を止められそう。だけど光明も見えている。
つまりやり方によっては、まだまだリアル書店が伸びていく余地があるということ。近年になって、「何か」に特化した書店が登場している。そして売上を伸ばしている。
取次制度に組み込まれた書店は消えていくとしても、まったく新しい書店が生き残っていくかもしれない。そんなことを感じる記事だった。
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