わざと分かりづらくしてる?
お花見は小休止。満開を迎えた週末の神戸は、どこへ行っても桜より人のほうが多いと思うから。
来週には遠出を予定してるので、それに備えて鋭気を養っておこう。と言いつつこの時期は美しい花が目につく。
通っているスーパー近くの公園で見つけたけれど、キュートな花だよね。あまりに可愛いので、思わずスマホを手にしていた。
「咲いているのは桜ばかりじゃないよ!」とこの花に言われたような気がした。たしかにそのとおり。春の花は、桜だけじゃないものね。
さて、久しぶりの読書メモ。なぜ久しぶりだったのか。それは4日で読了するつもりが、5日になり、結局6日もかかってしまった。読了したのは、昨晩の日付が変わる直前。もう少しで読了まで1週間になるところだった。
『ダイヤモンド・エイジ』ニール・スティーブンスン著という本。
ほとんど改行のない文章なのに、フォントがかなり小さい。さらに2段書きで530ページほどある。1日に100ページ読むのに、3時間近くかかってしまう。久しぶりに、格闘技を経験したような読書だった。
ただ分量が多いだけじゃない。21世紀なかばを舞台にしたSF小説で、やたら造語が多い。ナノテクノロジーが主題になっていて、あらゆる物質が創造されている。電子レンジのような装置を操作すると、物質を司る源と接続していて、原子や分子が加工されて簡易な食物が出てきたりする。
とにかく造語を理解するだけで、気が遠くなる。日常的に使われることのない固有名詞や機械、あるいは国名や地域名、役職や職業を書き出すだけで、このブログが意味不明な単語で埋まってしまうと思うw
正直言って、意地だけで読了した物語。ある貴族が、孫娘のために本を作らせた。ただの本ではなく、読む人の状況によって物語が変化していく。ある種の仮想現実が体験できるような本で、遠隔操作でナビゲーターのような存在が物語の展開を支えている。
その特殊な絵本を作ったのは、ハックワースという技術者。ハックワースは自分の娘にもその本を与えたくなり、内緒でもう1冊を作る。ところが暴漢に襲われて、その本を奪われてしまう。そしてその暴漢が、自分の妹であるネルという少女にその本を渡す。
結局ハックワースは、合わせて3冊の本を作ることになる。貴族の孫娘、ハックワースの娘、そしてネルという3人の少女が、その本とともに成長していく。だけどその本が持つ本当の能力を開花させたのは、虐待を受けて悲惨な暮らしを受けていたネルだけだった。
最終的には、そのネルによって世界で起きる暴動が制圧される。この物語はネルとハックワースの、心の成長を描いたものだと言っていい。著者はこの作品で、1996年にヒューゴ賞とローカス賞というSF小説の世界的な賞を受賞している。彼の代表作と言っていい。
ボクは最初、著者のメジャーデビュー作である『スノウクラッシュ』という本を読んだ。めちゃめちゃ面白かった。この作品と同じように、造語の嵐だったけれど楽しく読めた。
だけどこの小説は、正直言って理解不能。先ほども書いたけれど、断念するのが癪に触るので、意地で読み切った。ネルとハックワースに感情移入できたし、二人の成長物語だということもわかった。
そうだとしても、これだけの世界観を構築する意味がわからない。話がややこしくなる一方で、読めば読むほどカオスになってくる。もしかしたら、わざと分かりづらくしているのでは? と思ったほどwww
でも不思議なもので、気がつくとこの物語の世界を思い返している。妙な魅力があるのはたしかだと思う。この感覚を体験してみたい人は、ぜひトライして欲しい。ただし1日2時間読んでも、1週間はかかるよ〜!
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