2.0になるということ
まだちょっぴり肌寒さが残る神戸。でも明日くらいからは、また春が戻ってくるらしい。
ソメイヨシノは終わったけれど、八重桜はちょうど見ごろを迎えている。
曇り空だったので写りはイマイチだけれど、ほぼ満開。この花を見ていると、なぜか桜餅が食べたくなる。桜餅で思い出したけれど、京都の嵯峨に老舗の和菓子屋さんがあった。天龍寺の御用達をしていたお店なので、かなり歴史は古い。
嵐山へ遊びに行くと、ここ何年かはそこで和菓子を買うのが楽しみだった。この和菓子屋さんの桜餅が絶品! 新緑を見ながら桜餅をほうばっていると、これ以上の至福はないと思うほど。
ところが後継者がいなくて、昨年に閉店したとのこと。めちゃめちゃショック。今年も新緑の季節になったら妻と出かける予定だった。京都は老舗のお店が多いけれど、後継者の育成がうまくいかないとこういうことになるんだね。
古いものが消えてしまうのは、ショックなもの。だけどそのショックは、ある意味必然でもある。でないと旧態依然としたものが居座り、進化が行き詰まってしまう。特に社会構造を支えているシステムは、常に新陳代謝することが求められる。
そんなことを強く感じさせてもらえる本を読んだ。
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』佐藤航陽 著というビジネス本。
佐藤さんはメタップスというグローバル企業の代表取締役で、若くして会社を上場させて日本を含めた海外で活躍されている。そんな佐藤さんが書かれた『お金』に関しての本で、ベストセラーになっている。
ここ数年仮想通貨の登場で、お金の世界が大きく変わりつつある。本来お金というのものは、信用を可視化したものでしかない。国家が貨幣を発行するようになった歴史はそれほど昔のことじゃない。だけど現代人は、お金というものに対して特定の概念を固定化させている。
『2.0』ということは、それまでも価値観や概念を根底からくつがえし、まったく新しい仕組みとして理解することを指す。コンピュータのソフトのアップデートから来た言葉だよね。
ここのところメガバンク等の金融機関が、仮想通貨等の勢いに押されて『フィンテック』という概念を形にし始めている。だけど所詮、既存のシステムから発展させたものであり、それは『1.20』や『1.45』でしかなく、決して『2.0』ではない。
中央銀行やメガバンクが仕切っている限り、従来の『中央集権化』されたシステムに縛られている。それでは決して『2.0」ではない。
『2.0』となるためには、『分散化』というシステムに移行する必要がある。その最先端を象徴しているのが、仮想通貨を支えているブロックチェーンという仕組み。それは『お金』に限ったことではなく、仕事や日常生活にも影響を与えつつある。
ボクはこの本を読んで、特に目新しく感じたことはない。それは、自分なりに勉強してきたからだと思う。だけど中央集権や分散化についてピンとこない人は、ぜひこの本を読んだほうがいい。とてもわかりやす書かれているので、すでにスタートしている未来の仕組みが理解できるはず。ベストセラーになったということは、それだけ大勢の人の関心を集めているということだろう。
この本を読んで改めて感じだけれど、人間も『2.0』にアップデートする時代になったんだと思う。自分の過去や経験をふまえながら、それまでの枠組みを取り外し、新しいものに変えていかなければいけない。それも、できる限り早く。
既存のシステムに囚われていると、せいぜい『自分1.80』くらいにしか届かない。『自分2.0』になるということは、それまでの自分を一度叩き壊す必要がある。その勇気が持てるかどうかで、これからの時代は大きな格差が出てくるように思う。この本は、そのためのガイドブックになると思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。