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高羽そらさんインタビュー

君たちはどう生きるか(原作編)

人間という生き物は、慣れるのが早い。

 

良く言えば順応性が高いということだろうけれど、悪く言えば飼いならされやすいということかもw

 

去年の夏にMacBook Airのキーボードが壊れて、『I 』のキーが打てなくなった。一時的に入力できた時期もあるけれど、ここ半年ほどはまったく使用できない。それでずっと外付けキーボードを使っている。

 

最初は面倒で、かつ首や肩が痛くなった。姿勢を変えたりして調節していたけれど、半年以上も続けていると慣れてくるもの。今は同じ姿勢で2時間くらい入力しても大丈夫だし、午前と午後でも同じ姿勢で仕事をしている。

 

これはものごとの『捉え方』や『見方』にも言えることで、自分の周囲で起きていることに慣れてくる。とても有り難いことが起きても、慣れると当然のように受け取ってしまう。あるいは自然の美しさを眺めていても、初めて見たときの新鮮な感動を無くしてしまうこともある。

 

慣れというのは必要なものであって、それによって人間は経験というものを重ねて行く。熟練とはそいうものだろう。だけど技術は身につけても、心まで慣れてしまうと感性が鈍ってくるように思う。

 

だから読書というものが大切になる。他人の視点で出来事を捉えることで、自分が忘れていた感覚を取り戻すことができる。そんな新鮮な視点をビンビンに感じた本を読んだ。

 

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『君たちはどう生きるか』吉野源三郎 著という本。

 

このタイトルをどこかで聞いたことのある人は多いと思う。なぜなら同じタイトルの漫画が、ベストセラーになっているから。たしか100万部を突破して、ミリオンセラーになっているはず。

 

ボクもその漫画を読むつもりだけれど、まずは原作を知りたい。それでこの本を手にした。まったく内容を知らない状態で読んだけれど、ページをめくる手が止まらないほど夢中になってしまった。

 

それは先ほど書いたけれど、ボクが無くしていたピュアな視点を思い出すことができたから。

 

主人公は叔父さんにコペル君と名付けられた、15歳の少年。幼いころに父を亡くし、母親と二人で暮らしている。そこそこお金持ちの家らしく、生活に不自由している様子はない。その叔父さんが父親代わりとして、いつも相談に乗ってくれる。

 

小説形式になっているけれど、自己啓発的な内容。コペル君に起きた出来事を、その章の最後で叔父さんがノートに意見を書くという構成になっている。少年の素朴な疑問や感動を、将来読み返すことができるよう、叔父さんが文章にして残してくれている。

 

ボクが感動したエピソードは、『後悔』についてコペル君が学ぶ出来事。コペル君の親友の一人が、上級生に目をつけられていた。いつか殴り倒してやろうと狙っているらしい。そこでコペル君を含めた親友の4人が集まり、ある誓いを立てる。

 

その親友が上級生に暴力を受けそうになったら、親友たちと盾になって守るというもの。そしてある日、心配していた事件が起きる。

 

ところがコペル君ひとりだけが、上級生の暴力に怖気づいてしまう。他の友人が親友を守ろうとしたのに、コペル君は一歩も動くことができなかった。そのことで気を病み、半月も寝込んでしまう。

 

そんなコペル君に、叔父さんが素晴らしいアドバイスを授けてくれる。とても感動する内容で、今でもボクの心に焼きついている。それを知りたい人は、ぜひこの本を読んで欲しい。

 

時代設定が古く、読んでいていつごろの時代なのか気になっていた。最後に著者の解説があり、出版されたのは1935年だとわかった。すでに日中戦争は起きていて、6年後には太平洋戦争が起きる。この物語の子供たちは、いずれ戦地に向かうことになるんだ……。

 

ここまで読んで、この本のタイトルの意味がわかったような気がする。『君たちはどう生きるか』という問いは、この時代の若者に投げかけられていたんだと思う。暗い時代だからこそ、他人を思いやる気持ちを持って欲しい。暴力に毅然と立ち向かって欲しい。そんな著者の気持ちが伝わってきた。

 

そう思うと、とても切なくなってきた。そしてその切実な想いは、現代でも通じるものがあるんだと思う。だからこの物語を原作とした漫画が、ミリオンセラーになったんだろう。

 

この原作がどのような漫画になっているのか、とても楽しみにしている。大勢の人に読んで欲しいと思う、素晴らしい小説だった。

 

decoration/dcr_emoji_238.gif『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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