触媒がもたらすパラダイムシフト
今日は外出する日なんだけれど、自宅に引きこもっていた。というのは天気予報で強い雨と風だと聞いていたので、外出しなくてもいいように前回の買い物で調節しておいたから。結果として雨は午前中の早くにあがったけれど、おかげでゆっくりと仕事をすることができた。
でも時間があるからといって、仕事が順調に進むわけじゃない。今日の午前中に書き始めてすぐ、あることが気になって行き詰まってしまった。あるシーンのシチュエーションがどうしても気になる。こんな風に感じた場合、過去の経験によると書き直すほうがいい。
それで思い切って設定を変えることにした。だけど、なかなかいいアイデアが思いつかず、行き詰まってしまった。こんなときは、じっと考えても時間が経過してくだけ。まったく関係ないことを頭に取り入れて、シェイクしてしまうのが最適。
要するに化学反応における触媒のようなものを見つけて、脳みそに注入する。そして頭を別のことで動かす。できれば身体も動かすほうがいい。今日の場合、立ち上がって別の用事を始めたり、ブックマークしているネットの記事を読んだり、小説に関係ない不動産関連の番組を見たりしていた。
すると不思議なもので、ポンとアイデアが湧き出す。とてもしっくりする状況を思いついたので、午後から書き直してみた。午前中に心に張り付いていた違和感が消えている。こんな風に、触媒を使ってパラダイムシフトを起こすことは大切だと思う。
今日の午後から、めちゃくちゃ懐かしい映画を観ていて、主人公がまさにその触媒を演じていた。
『ビバリー・ヒルズ・コップ』という1984年のアメリカ映画。ボクはこの映画が大好きで、20代のころに見すぎてしまった。だから次のセリフが浮かんだり、登場人物がどんな表情やリアクションをするかまで把握している。
全部で3作あるシリーズ物だけれど、ボクはこの第1作目がもっとも気に入っている。それはエディ・マーフィー演じるアクセル・フォーリーという刑事が、完璧な触媒として化学反応を誘発しているから。
アクセルはデトロイト市警の刑事。ところが友人がビバリーヒルズの事件に絡み、殺されてしまう。それで休暇を装ってビバリーヒルズまでやって来るけれど、地元の刑事たちは、完璧なまでお上品に飼いならされていた。
上司の言うことは絶対だし、忖度することで問題を起こさないようにする。正しいと思っていることでも主張できないし、犯罪捜査を円滑にするためにちょっとした嘘をつくことさえできない。頭がカチカチで、がんじがらめになっている状態。
そんなところへ、まったく正反対の生き方をしているアクセルがやって来る。最初は戸惑うけれど、ローズウッドとタガートという二人の刑事は、自分たちにないものを持っているアクセルに惹かれていく。
まるで異分子のようなアクセルだけど、それゆえに触媒としてのポテンシャルは高い。ラストでは地元の警察官すべてを巻き込んで、彼らの意識をパラダイムシフトへと導く。ラストではボゴミル警部補までもが、警察署長に対して登場人物たちを助けるために嘘をつく。
20年ぶりぐらいに観た作品だけれど、相変わらず面白かった。機関銃のように話しまくる、若いエディ・マーフィーが懐かしかった。現代においてインフルエンサーと呼ばれている人たちは、こうした触媒のような影響力を持っている人たちなんだろうね。
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